エヌビディアの株は買うべき?
エヌビディアの株は買うべき?
エヌビディアの業績や財務状況を知りたいけど、どうすればいいか分からない。
この記事では、最新のエヌビディアの決算内容、PERや財務諸表を分析します。
この記事を読めば、誰でも、エヌビディアの現在の業績や財務状況を把握することができます。
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エヌビディアとは?
エヌビディアは、「グラフィックスプロセッサユニット(GPU)」を中心とした「高性能コンピューティングおよびビジュアルコンピューティング製品」の開発と製造を行う半導体関連の企業です。
エヌビディアの主要な製品・サービスとしては、以下のものが挙げられます。
- GeForce シリーズ: ゲームや高性能コンピューティング向けのグラフィックカード。
- Quadro/Tesla シリーズ: 専門的なビジュアルコンピューティングとデータセンター向けのGPU。
- Tegra: スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス向けのプロセッサ。
- NVIDIA Shield: ゲームとエンターテイメントに特化したハードウェアとサービス。
- ディープラーニングとAI: データサイエンスと人工知能向けのソフトウェアとハードウェア。
- 自動運転車向けソリューション: 自動運転技術の開発に利用されるハードウェアとソフトウェア。
最新の決算
2023年11月にエヌビディアは2024年度第3四半期決算を発表しており、
- EPS:アナリスト予想3.37ドルに対し結果4.02ドルで、アナリスト予想を上回る。(〇)
- 売上高:アナリスト予想161.8億ドルに対し結果181.2億ドルで、アナリスト予想を上回る。(〇)
- データセンター部門の売上:アナリスト予想129.7億ドルに対し結果145.1億ドルで、アナリスト予想を上回る。(〇)
- ゲーム部門の売上:アナリスト予想26.8億ドルに対し結果28.6億ドルで、アナリスト予想を上回る。(〇)
という結果でした。
次期四半期売上高ガイダンスは、200億ドルとしました。これは、前年同期比230.5%の成長率となります。
また、EPSについて、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
過去1年間と過去3年間の平均PER
2023年11月28日時点のエヌビディアのPERについては、financecharts.comによると下記のとおりです。
- 過去3年間の平均PER: 101.19倍
- 過去3年間の平均株価(DILUTED TTM EPS7.57で算出): 766.01ドル
- 過去1年間の平均PER:124.52倍
- 過去1年間の平均株価(DILUTED TTM EPS7.57で算出):942.62ドル
- 2023年11月28日時点のPER:63.73倍
- 2023年11月28日時点の株価:482.42ドル
となっています。
過去1年間の平均PERと株価は過去3年間の平均よりも高く、投資家の期待が高まっていた時期があったことを示しています。
しかし、2023年11月28日時点では、PERも株価も大幅に低下しています。
2023年11月28日時点での低いPERと株価は、エヌビディアの株が過去の高い評価から割安になっていることを示しています。
PERについて、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
PERについて詳しく解説
売上高
FY21Q4~FY24Q4(予想)のトレンドと変化
- FY21Q4からFY22Q4: 売上は順調に増加しました。FY21Q4の50.03億ドルからFY22Q4には76.43億ドルに成長しました。この期間の成長率は最高52.8%(FY22Q4)に達しました。
- FY23Q1からFY23Q4: この会計年度は、成長が鈍化し、一部では売上が減少しました。FY23Q1は82.88億ドルで始まり、FY23Q4には60.51億ドルに落ち込みました。FY23Q3とFY23Q4では、それぞれ-16.5%と-20.8%の成長率の低下が見られました。
- FY24Q1からFY24Q4(予想): FY24Q1には71.92億ドルで始まり、FY24Q2では大幅な成長を遂げ、135.07億ドルに到達しました。FY24Q3では更に増加し、181.20億ドルとなり、FY24Q4の予想では200.00億ドルに達すると見られています。この期間の成長率は特にFY24Q3とFY24Q4で顕著で、それぞれ205.5%と230.5%に達しました。
2022年度までは安定した成長を見せていましたが、2023年度に入ると成長率が減少し、一時的に売上が下降しました。
2024年度に入ると、売上は再び大幅に増加し、特に後半の四半期では前年同期比で100%以上の成長率を記録しています。
特に2024年第3四半期の売上は181.20億ドルで、前年同期比で205.5%の驚異的な成長率を記録しました。
営業利益
FY21Q4~FY24Q3のトレンドと変化
- FY21Q4からFY22Q4: この期間中、営業利益は継続して増加しました。FY21Q4の営業利益は15.07億ドルから始まり、FY22Q4には29.70億ドルに達しました。FY22Q4の成長率は97.1%でした。
- FY23Q1からFY23Q4: しかし、FY23年度では営業利益の成長率が減少しました。FY23Q1は18.68億ドルで始まり、FY23Q2では大幅に減少し4.99億ドルとなりました。FY23Q3とFY23Q4の成長率はそれぞれ-77.5%と-57.7%で、この期間中の営業利益の低下が顕著でした。
- FY24Q1からFY24Q3: しかし、FY24年度に入ると、営業利益は再び大幅に増加しました。FY24Q1は21.40億ドルで、FY24Q2では68.00億ドル、FY24Q3では104.17億ドルに達しました。特にFY24Q2とFY24Q3の成長率は、それぞれ1262.7%と1633.3%となり、非常に顕著な成長を遂げました。
2022年度までは営業利益が安定して増加し、2022年第4四半期には29.70億ドルとなりました。
しかし、2023年度には営業利益が減少し、2023年第4四半期には12.56憶ドルにまで低下しました。
2024年度に入ると、営業利益は再び大幅に増加し、特に2024年第3四半期では前年同期比で1633.3%という驚異的な成長率を達成しました。
営業利益率
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。
エヌビディアの営業利益率のトレンド(FY22Q4~FY24Q3)
- FY22Q4: 営業利益率は38.86%で、この時点ではINTCの24.30%、AMDの25.01%と比較して高い水準を保っていました。
- FY23Q1~FY23Q4: この期間中、エヌビディアの営業利益率は大幅に低下しました。FY23Q1では22.54%、FY23Q2では7.44%、FY23Q3で10.13%、FY23Q4で20.76%となりました。この期間中、INTCは負の営業利益率を示しており、AMDもFY23Q2以降、負の営業利益率を記録しています。
- FY24Q1~FY24Q3: エヌビディアの営業利益率は再び上昇しました。FY24Q1では29.76%、FY24Q2では50.34%、FY24Q3では57.49%となりました。この期間中、INTCは依然として負の営業利益率を示していましたが、FY24Q3ではわずかに改善された-0.06%を記録しました。AMDもFY24Q3で3.86%の営業利益率を示しました。
2022年から2024年にかけて、エヌビディアの営業利益率は初め高い水準から大きく低下しましたが、その後迅速に回復しました。
特に2024年第3四半期の57.49%は、エヌビディアが効率的な運営を実現し、業界内で優位な地位を築いていることを示しています。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、企業の営業活動から発生した現金収入です。
FY21Q4~FY24Q3のトレンドと変化
- FY21Q4からFY22Q4: この期間中、営業キャッシュフローは波ありながらも全体的に増加しました。FY21Q4の20.67億ドルからFY22Q4には30.33億ドルに達しました。FY22Q4の成長率は46.7%でした。
- FY23Q1からFY23Q4: FY23年度では営業キャッシュフローの減少が見られました。FY23Q1は17.31億ドルでしたが、FY23Q3には大幅に減少して3.92億ドルになりました。この期間の成長率は一貫して低下し、FY23Q3では-74.2%となりました。
- FY24Q1からFY24Q3: FY24年度に入ると、営業キャッシュフローは再び大幅に増加しました。FY24Q1は29.11億ドル、FY24Q2は63.48億ドル、FY24Q3では73.32億ドルに達しました。特にFY24Q2とFY24Q3の成長率はそれぞれ399.8%と1770.4%で、非常に高い成長を達成しました。
2022年度までは営業キャッシュフローが全体的に増加し、2022年第4四半期には30.33億ドルに上昇しました。
しかし、2023年度には減少し、2023年第3四半期には3.92億ドルに大幅に低下しました。
2024年度に入ると、営業キャッシュフローは再び大幅に増加し、特に2024年第3四半期では前年同期比で1770.4%という驚異的な成長率を達成しました。
営業キャッシュフローマージン
営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。
エヌビディアの営業キャッシュフローマージンのトレンド(FY22Q4~FY24Q3)
- FY22Q4: エヌビディアの営業キャッシュフローマージンは39.68%で、この時点でINTCの28.24%やAMDの17.03%と比較して高い水準でした。
- FY23Q1~FY23Q4: この期間中、エヌビディアの営業キャッシュフローマージンは一時的に低下しました。FY23Q1では20.89%、FY23Q2では18.94%、FY23Q3では6.61%、FY23Q4では37.15%となりました。この期間中、INTCはFY23Q4で54.86%と大幅に増加しましたが、AMDのマージンは一貫して低下傾向にありました。
- FY24Q1~FY24Q3: エヌビディアの営業キャッシュフローマージンは再び上昇しました。FY24Q1では40.48%、FY24Q2では47.00%、FY24Q3では40.46%となりました。INTCもFY24Q3で41.14%と回復しましたが、AMDは依然として低いマージンを記録しています。
2022年第4四半期から2024年第3四半期にかけて、エヌビディアは営業キャッシュフローマージンにおいて大きな変動を示しましたが、全体的には競合他社と比べて高いマージンを維持しています。
特に2024年第3四半期の40.46%は、業界内でのエヌビディアの強力な競争力と効率的なキャッシュフロー管理を示しています。
なお、「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」によると、営業キャッシュフローマージンは、理想として15%から35%程度あると素晴らしいとされています。
アクルアール
アクルアールは、会計上の利益である純利益を実際の現金収入である営業キャッシュフローで引いた値です。
アクルアールの値がマイナスとなる企業は、現金収入を伴った質の高い利益を生み出していると判断されます。
一方で、アクルアールの値がプラスとなる企業は、会計上の利益に対して実際の現金収入が少なく、現金収入を伴わない質の低い利益しか生み出せていないと判断されます。
アクルアールのトレンドと変化(FY23Q3~FY24Q3)
- FY23Q3: アクルアールは2.88億ドルで、これは企業がある程度の質の高い利益を生み出していることを示しています。
- FY23Q4: アクルアールは-8.34億ドルで、これはエヌビディアがかなりの現金収入を伴った高い質の利益を生み出していることを意味します。
- FY24Q1: ここでもアクルアールは-8.68億ドルで、前四半期と同様に高品質の利益を示唆しています。
- FY24Q2: アクルアールは-1.60億ドルとなり、依然として質の高い利益を示していますが、前四半期よりは少なくなっています。
- FY24Q3: この四半期ではアクルアールが1.911億ドルに上昇し、これは会計上の利益が現金収入を上回り、質の低い利益が生み出されている可能性があることを示しています。
2023年第3四半期から2024年第2四半期までは、エヌビディアは主に質の高い利益を生み出していましたが、2024年第3四半期では状況が変化し、会計上の利益が現金収入を上回る状況が見られました。
なお、基本的な財務諸表の読み方やアクルアールなどの財務指標については、「たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室」という本で、会計初心者向けに分かりやすく解説されていますので、より詳しい内容を知りたい方はそちらをご覧ください。
自己株式調整済み負債比率
自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える負債が純資産(自己株式を除く)に対してどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。
この比率が低ければ低いほど、企業は少ない負債で運営されており、その結果、財務が健全であると見なされます。
「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。
自己株式調整済み負債比率のトレンド(FY23Q3~FY24Q3)
- FY23Q3: 0.90という比率は、比較的高い負債レベルを示していますが、まだバフェットの基準を超えています。
- FY23Q4: この期間には0.86となり、負債レベルが若干減少しました。
- FY24Q1: さらに改善して0.81になり、バフェットの基準に近づきました。
- FY24Q2: バフェットの基準とされる0.80に到達しました。
- FY24Q3: 0.63と大幅に低下し、バフェットの基準を大きく下回る健全な財務状況を示しています。
2023年度の第3四半期から2024年度の第3四半期にかけて、エヌビディアの自己株式調整済み負債比率は着実に減少し、特に2024年度の第3四半期では大きく改善しました。
このトレンドは、エヌビディアの財務状態が安定し、健全性が高まっていることを示唆しています。
特に2024年第3四半期の0.63という低い比率は、企業が効果的な資本構造を持ち、負債に依存しない強固な財務基盤を築いていることを示しています。
固定長期適合率
固定長期適合率は、企業の固定資産の購入費用が、安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。
一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。
固定長期適合率のトレンド(FY23Q3~FY24Q3)
- FY23Q3: 固定長期適合率は51.33%で、これは固定資産が安定した資金で十分に賄われていることを意味します。
- FY23Q4: わずかに増加して52.31%になりましたが、引き続き100%以下で、財務状況の安定性を示しています。
- FY24Q1: さらに増加して52.63%になりましたが、依然として100%以下です。
- FY24Q2: 52.93%に微増しましたが、安定した資金調達の範囲内に留まっています。
- FY24Q3: 47.71%に低下し、これは固定資産に対する安定資金の比率が改善されたことを示しています。
2023年第3四半期から2024年第3四半期にかけて、エヌビディアの固定長期適合率は一貫して100%以下であり、企業が固定資産を安定した資金で運用していることを示しています。
固定長期適合率のトレンドは、エヌビディアの財務状況が健全で安定していることを示唆しています。
特に2024年第3四半期の47.71%の低下は、企業がより効率的に資金を管理している可能性を示しています。
総合的な評価
エヌビディアの決算内容、PERや財務諸表の内容を踏まえて、エヌビディアを評価します。
エヌビディアの総合評価は、S,A,B,C,Dのうち、「A」ランクとします。
Aランクは、財務的な健全性、業績の強さ、市場での競争力など、多くの面で優れた成果を達成していることを示していますが、市場の不確実性や一定の業績の変動性など、完璧な状態には至っていないことを反映しています。
エヌビディアは、財務健全性、営業成績、市場評価、成長の持続性の各面で高い評価をつけることができます。
ただし、2023年度における営業利益の減少と営業キャッシュフローの低下は、業績の一貫性に疑問を投げかけています。
2024年度にはこれらの数値が回復していますが、一定期間の業績の不安定さは、Sランク評価をためらわせる要因となります。
分析して欲しい米国株・日本株のリクエストを受け付けています
最後までお読みいただきありがとうございました。
もし、この米国株・日本株を財務分析して欲しいなど、リクエストがあれば、youtube・tiktokのコメント欄やX(旧twitter)などで教えていただければ幸いです。