日本株

【松井証券2025年3月期第2四半期決算分析:「FX取引118.4兆円」が示す収益構造の大転換】

【事業概要】

松井証券は、個人投資家向けのオンライン証券サービスを提供する金融機関です。

主要サービス:

1. 株式取引

・現物取引:株式の売買

・信用取引:証券会社から資金や株式を借りて行う取引

・先物・オプション:派生商品取引

2. FX(外国為替証拠金取引)

・「松井証券 MATSUI FX」を展開

・レバレッジを活用した外国為替取引

3. 投資信託

・1,901本の投資信託を取扱い

・積立投資にも対応

4. 米国株式取引

・4,600銘柄以上を取扱い

・米国ETFにも対応

5. MATSUI Bank(銀行代理業)

・円預金・外貨預金サービス

・住信SBIネット銀行との提携

【用語解説】

・純営業収益:営業収益から金融費用を差し引いた収益

・信用取引評価損益率:

信用取引で保有している株式の評価損益の割合

マイナスは含み損を示す

・DOE(自己資本配当率):

純資産に対する配当金の割合

配当の持続可能性を測る指標

・トレーディング損益:

FX取引等のディーリング業務による収益

・応答率:

カスタマーサポートの総入電数に対する応答数の割合

顧客サービスの質を測る指標

・金融収支:

信用取引等による金融収益から金融費用を差し引いた収益

===業績ハイライト(前年同期比)===

営業収益:203億円 (+15%)

純営業収益:194億円 (+16%)

経常利益:89億円 (+23%)

純利益:61億円 (+28%)

■要因:株式市場の活況に加え、FX取引の大幅増が牽引

■考察:収益構造の多様化が進み、株式市況への依存度が低下傾向

【収益構造の変化】

1. トレーディング収益:19億円 (+69%)

■要因:FX取引が過去最高の118.4兆円を記録

■背景:

・日経平均株価が7月に史上最高値42,224円を記録

・8月には過去最大の下げ幅4,451円安を記録

・市場のボラティリティ上昇が取引増加を促進

■考察:相場変動局面での収益機会を確実に捕捉

2. 株式関連収益

・売買代金シェア:8%

・信用取引買残シェア:8%

■特徴:

・信用取引評価損益率:-9.6%

・グロース市場の評価損益率:-19.9%

■考察:信用取引の健全性は改善傾向だが、グロース市場のリスクには留意

3. 顧客基盤の拡大状況

・総口座数:159.6万口座

・新規口座開設:2Q期間中の月間平均約8,100口座

・投資信託残高:2,833億円

・投資信託取扱銘柄数:1,901本

■考察:安定的な口座数増加と商品ラインナップの充実

【差別化戦略の進捗】

1. デジタルマーケティング

・YouTube登録者37.8万人(業界首位)

・認知度56%(業界3位)

・フォートナイトでのオリジナルゲーム展開

■考察:エンターテインメント性を活かした認知度向上策が奏功

2. 商品・サービスの拡充

・MATSUI Bank米ドル外貨預金金利:年2.00%(税引後1.5937%)

・米国株取扱銘柄:4,600超

・2025年5月クレジットカード投信積立開始予定

■考察:顧客ニーズに応じた商品・サービスの多様化

3. 顧客サポートの優位性

・100万口座当たりの外務員数が業界最多

・7-9月期の応答率87%

・株価急落時の営業時間延長対応実施

■考察:ネット証券でありながら、手厚い顧客サポート体制を実現

【今後の注目点】

1. 収益基盤

・FX取引の持続可能性

・投資信託ビジネスの収益貢献度

・米国株取引の動向

2. 市場環境

・日本株市場のボラティリティ

・為替相場の変動

・金利環境の変化

3. 競争力強化

・デジタルマーケティングの効果

・顧客サポート品質の維持

・商品ラインナップの拡充

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