【事業概要】
松井証券は、個人投資家向けのオンライン証券サービスを提供する金融機関です。
主要サービス:
1. 株式取引
・現物取引:株式の売買
・信用取引:証券会社から資金や株式を借りて行う取引
・先物・オプション:派生商品取引
2. FX(外国為替証拠金取引)
・「松井証券 MATSUI FX」を展開
・レバレッジを活用した外国為替取引
3. 投資信託
・1,901本の投資信託を取扱い
・積立投資にも対応
4. 米国株式取引
・4,600銘柄以上を取扱い
・米国ETFにも対応
5. MATSUI Bank(銀行代理業)
・円預金・外貨預金サービス
・住信SBIネット銀行との提携
【用語解説】
・純営業収益:営業収益から金融費用を差し引いた収益
・信用取引評価損益率:
信用取引で保有している株式の評価損益の割合
マイナスは含み損を示す
・DOE(自己資本配当率):
純資産に対する配当金の割合
配当の持続可能性を測る指標
・トレーディング損益:
FX取引等のディーリング業務による収益
・応答率:
カスタマーサポートの総入電数に対する応答数の割合
顧客サービスの質を測る指標
・金融収支:
信用取引等による金融収益から金融費用を差し引いた収益
===業績ハイライト(前年同期比)===
営業収益:203億円 (+15%)
純営業収益:194億円 (+16%)
経常利益:89億円 (+23%)
純利益:61億円 (+28%)
■要因:株式市場の活況に加え、FX取引の大幅増が牽引
■考察:収益構造の多様化が進み、株式市況への依存度が低下傾向
【収益構造の変化】
1. トレーディング収益:19億円 (+69%)
■要因:FX取引が過去最高の118.4兆円を記録
■背景:
・日経平均株価が7月に史上最高値42,224円を記録
・8月には過去最大の下げ幅4,451円安を記録
・市場のボラティリティ上昇が取引増加を促進
■考察:相場変動局面での収益機会を確実に捕捉
2. 株式関連収益
・売買代金シェア:8%
・信用取引買残シェア:8%
■特徴:
・信用取引評価損益率:-9.6%
・グロース市場の評価損益率:-19.9%
■考察:信用取引の健全性は改善傾向だが、グロース市場のリスクには留意
3. 顧客基盤の拡大状況
・総口座数:159.6万口座
・新規口座開設:2Q期間中の月間平均約8,100口座
・投資信託残高:2,833億円
・投資信託取扱銘柄数:1,901本
■考察:安定的な口座数増加と商品ラインナップの充実
【差別化戦略の進捗】
1. デジタルマーケティング
・YouTube登録者37.8万人(業界首位)
・認知度56%(業界3位)
・フォートナイトでのオリジナルゲーム展開
■考察:エンターテインメント性を活かした認知度向上策が奏功
2. 商品・サービスの拡充
・MATSUI Bank米ドル外貨預金金利:年2.00%(税引後1.5937%)
・米国株取扱銘柄:4,600超
・2025年5月クレジットカード投信積立開始予定
■考察:顧客ニーズに応じた商品・サービスの多様化
3. 顧客サポートの優位性
・100万口座当たりの外務員数が業界最多
・7-9月期の応答率87%
・株価急落時の営業時間延長対応実施
■考察:ネット証券でありながら、手厚い顧客サポート体制を実現
【今後の注目点】
1. 収益基盤
・FX取引の持続可能性
・投資信託ビジネスの収益貢献度
・米国株取引の動向
2. 市場環境
・日本株市場のボラティリティ
・為替相場の変動
・金利環境の変化
3. 競争力強化
・デジタルマーケティングの効果
・顧客サポート品質の維持
・商品ラインナップの拡充