糖尿病から肥満治療へ転用!最新薬「ゼップバウンド」
今回は、イーライリリーの成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性を5点満点で評価し、買い、強気、中立、弱気、売りのいずれかの投資判断を行いたいと思います。
突然ですが、皆さんは世界で最も肥満率が高い国はどこだと思いますか?
正解は最後にお伝えしますので予想してみてください。
さて、ここで少し私の話をさせてください。最近、健康診断で少し体重が増えていることが判明しました。
家族からは「運動しなさい」と言われますが、なかなか運動を続けるのは難しいですね。
プーマの鬼カッコイイ運動ジャージを買ったことに満足して、一歩も外に出ていない駄目人間が私です。
さて、私にとっても興味深い話題が、今日のテーマです。
イーライリリーは、糖尿病治療薬のマンジャロや乳がん治療薬のベージニオなどで知られる、アメリカの製薬会社です。
イーライリリーは、さまざまな治療薬を提供していますが、最近特に注目を集めている治療薬が2023年12月に発売された肥満治療薬「ゼップバウンド」です。
ゼップバウンドは、もともと糖尿病治療のために開発された薬を肥満症治療に応用したものです。
食欲を抑制することで痩せる効果があるとされています。皆さんの中には私と同じように「痩せたい」と思っている方も多いのではないでしょうか?
ネガティブな事実ですが、肥満は深刻な健康問題です。しかし、この問題に対する希望の光がゼップバウンドです。
世界中で肥満人口が増加する中、効果的かつ安全な肥満治療薬の需要が高まっています。特に、「肥満大国」とされる米国では、その利用者が急増しています。
また、肥満治療薬市場は、2030年までに市場規模が1000億ドル(約15兆円)に成長するとの予測もあります。これは、私たち個人投資家にとっても大きなチャンスです。
さらに、イーライリリーは、アルツハイマー病の治療薬「ドナネマブ」の発売を目指しています。
これはまた一つ、私たちにとって希望をもたらす治療薬です。
米食品医薬品局(FDA)は2024年6月10日、外部の専門家による諮問委員会を開催し、全会一致でドナネマブの承認を推奨しました。
FDAはこの意見を参考にし、ドナネマブの最終的な承認判断を行います。
ドナネマブの治療対象は、加齢だけでは説明できない物忘れが現れた軽度認知障害(MCI)から、生活に支障が出始めた早期認知症の人々です。治療は4週間に一度の頻度で点滴投与されます。
さて、冒頭のクイズの答えですが、世界で最も肥満率が高い国は太平洋の小さな島国ナウルなんです。人口の約9割が肥満だそうです。驚きですよね。
週足チャートで見るイーライリリーの快進撃:新薬の成功が株価を押し上げる
イーライリリーの株価動向について解説していきます。
イーライリリーの週足チャートを見ると、2022年の後半から2024年にかけて、株価は一貫して上昇しています。
特に、2023年9月8日に587.55ドルを記録して以降、上昇の勢いが加速しています。これは、糖尿病治療薬や肥満症治療薬に関する期待が株価を大きく押し上げた結果です。
次に、移動平均線を見てみましょう。25日、50日、200日の移動平均線が表示されています。これらの線が右肩上がりになっていることからも、長期的な上昇トレンドが続いていることがわかります。
特に、2023年3月以降、株価が25日移動平均線の上に位置していることは、強い上昇基調を示しています。
取引量(VOLUME)を確認すると、2023年後半から2024年にかけて増加傾向にあります。特に、2023年末から2024年初頭にかけての取引量の増加は、新薬の発売や好調な業績発表に対する市場の反応と考えられます。
これからもイーライリリーの株価は、糖尿病治療薬や肥満症治療薬の売上、さらには新薬の開発進展によって影響を受けるでしょう。
特に、今後発売が見込まれているアルツハイマー病の治療薬「ドナネマブ」の発売が成功すれば、さらなる株価の上昇が期待されます。
糖尿病治療薬「マンジャロ」と肥満治療薬「ゼップバウンド」が好調、イーライリリーの業績を押し上げる
イーライリリーの2024年第1四半期業績については、売上高は前年同期比25.97%増の87億6800万ドル、純利益は前年同期比66.77%増の22億4290万ドルに拡大しました。
EPS(非GAAP)は2.58ドルとなり、市場予想の2.436ドルを上回りました。
一方で、売上高の87億6800万ドルは、市場予想の89億2600万ドルを下回りましたが、糖尿病治療薬や肥満症治療薬の販売が業績を大きく押し上げました。
特に注目すべきは、糖尿病治療薬「マンジャロ」の売上高が前年同期比3.17倍の18億650万ドルに急拡大したことです。
また、新製品の肥満症治療薬「ゼップバウンド」も5億1740万ドルの売上高を計上し、市場予想の約3億7820万ドルを大きく上回りました。
更に、イーライリリーは2024年12月期通期の売上高見通しを424.0から436.0億ドルに上方修正しました(従来見通しは404.0~416.0億ドル、市場予想は413.8億ドル)。
さらに、2024年12月期通期調整後EPSの見通しも13.5から14.0ドルに上方修正し、従来見通しの12.2~12.7ドル(市場予想12.45ドル)を大きく上回る結果となりました。
成長軌道を描くイーライリリー:業績推移と未来予測
イーライリリーの業績推移と予測を紹介します。
2021年、イーライリリーの売上高は283億ドルに達し、前年より15.39%増加しました。この成長は新型コロナ抗体薬の売上が大きく寄与したものですが、純利益は56億ドルに減少しました。これは、株式証券投資の損失と高コスト債務の買い戻しに関連する費用が影響しています。
イーライリリーの2022年の売上高は285億ドルで、前年とほぼ同じ水準でしたが、純利益は改善しました。2023年には売上高が341億ドルに達し、顕著な成長を見せましたが、利益は減少しました。この減少の主な要因は、特定の医薬品の特許切れや新型コロナ抗体薬の売上減少によるものです。
2024年は売上高431億ドル、経常利益144億ドル、当期純利益120億ドルと大幅な増加が予測されています。
2025年は売上高531億ドル、経常利益202億ドル、当期純利益171億ドルと引き続き成長が見込まれています。
イーライリリーの財務状況を深掘り:気になる財務の健全性をチェック
次はイーライリリーの財務状況を確認します。
イーライリリーの自己資本比率は約17%です。これは総資産640億ドルに対する純資産108億ドルの割合を示し、企業の財務健全性を評価する重要な指標です。
次に、固定長期適合率は約104%です。これは固定資産383億ドルが純資産と固定負債の合計367億ドルで完全にカバーされていないことを示し、流動資産の一部が固定資産の資金に使われていることを意味します。総じて、イーライリリーは負債に依存している割合が高いことがわかります。
イーライリリーのキャッシュフロー分析:2021年から2023年の変動とその背景
イーライリリーのキャッシュフローは、2021年から2023年にかけて大きな変動を見せました。2021年の営業キャッシュフローは73億ドルで前年から11.70%増加し、2022年には76億ドルでさらに4.47%成長しました。しかし、2023年には42億ドルに減少し、44.10%の減少となりました。
この急激な減少は、主にイーライリリーの会社が持っているお金の動きと在庫の管理に問題があったからです。
具体的には、売り上げた商品の代金を回収するのに時間がかかったり、支払うべきお金が増えたりして、会社の資金運用がうまくいかなくなりました。また、商品の需要が変動しても、すぐに対応できなかったため、在庫管理が難しくなりました。これらの理由で、短期的にお金の流れが悪くなり、会社の財務状況が厳しくなったのです。
投資キャッシュフローは、2021年のマイナス28億ドルから2023年にはマイナス72億ドルに大幅に増加しました。これは、新たな設備投資や買収活動の増加、特に製薬設備と研究開発への投資が原因と考えられます。
簡単に言うと、イーライリリーは新しい機械や設備を購入したり、他の会社を買収したり、薬を作るための研究に多くのお金を使ったりしているため、一時的にお金が足りなくなったのです。これらの投資は将来的に会社の成長に繋がる可能性が高いですが、短期的にはお金が出て行く量が増えるため、財務状況が一時的に厳しくなります。
一方、財務キャッシュフローは2023年に35億ドルとなり、大幅に改善しました。これは、借金の返済が減ったことと、新しく発行された株式によって資金を調達したことが関係しています。また、株主に支払う配当金が増えたものの、全体としては会社に入ってくるお金が増えました。簡単に言うと、借金の返済が少なくなり、新しい株を売って得たお金が多かったため、会社の財務状況が強化されたのです。
フリーキャッシュフローは2023年に-29億ドルとなり、これも大幅な減少を記録しました。これには、営業キャッシュフローの減少と投資キャッシュフローの増加が大きく影響しています。
ネットキャッシュ比率とは
ネットキャッシュ比率とは、資産総額に対する資金の豊富さを計る尺度です。
ネットキャッシュとネットキャッシュ比率の定義については、長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家、清原達郎氏のネットキャッシュ比率の定義を採用しています。
ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債
ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額
ネットキャッシュ比率=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額
ネットキャッシュ比率が1の企業については、「会社がただで買えるほど割安」であり、数字が大きいほど割安と判断できます。
また、清原氏曰く、ネットキャッシュ比率が1を超えている企業については、「ただで会社をもらった上で現金まで貰える」ほど割安だとされています。
より詳しい内容については、清原達郎氏の「わが投資術 市場は誰に微笑むか」をご覧ください。
資金繰りに注意!イーライリリーのネットキャッシュ比率から見る財務状況
イーライリリーのネットキャッシュ比率はマイナス0.03です。この比率は負の値を示しており、これは企業の負債が資産よりも多いことを意味します。
総じて、イーライリリーのネットキャッシュ比率が-0.03であることは、同社が現時点で資金面での豊富さに欠け、負債の方が資産を上回っていることを意味します。このような財務状況では、資金繰りや財務健全性に注意が必要です。
糖尿病・肥満治療薬の成功が後押し!イーライリリーの投資妙味を探る
それでは、イーライリリーの成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性を5点満点で評価し、買い、強気、中立、弱気、売りのいずれかの投資判断を行いたいと思いますが、続きの内容については、youtubeのメンバーシップの限定動画かnoteの有料記事となります。
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