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バフェット銘柄、伊藤忠商事 最新の決算&財務諸表を解説 2024年1月

バフェット銘柄、伊藤忠商事

伊藤忠商事は、2023年11月6日に2024年第2四半期決算を発表しています。

24年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結最終利益は前年同期比14.5%減の4128億円に減少しました。

他方、通期の連結最終利益を従来予想の7800億円から8000億円(前期は8005億円)に2.6%上方修正し、減益率が2.6%減から0.1%減に縮小する見通しとなりました。

直近3ヵ月の実績である7-9月期(2Q)の連結最終利益は前年同期比20.9%減の1996億円に減り、売上営業利益率は前年同期の5.7%から5.4%に悪化しました。

今回は、そんな伊藤忠商事の最新の財務諸表を解説します。

この記事を読めば、伊藤忠商事の株を買うにあたって、最低限知っておくべき伊藤忠商事の業績や財務状況を把握することができます。

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伊藤忠商事とは?

伊藤忠商事は日本の大手総合商社で、食品、テキスタイル、金属、エネルギーなど多岐にわたる分野で活動しています。中国市場にも強く、また、コンビニエンスストアチェーンのファミリーマートを傘下に持っています。

また、投資や開発事業も行っており、グローバルに事業を展開している企業です。

年間配当と配当利回りの推移

伊藤忠商事の年間配当は、2020年の85円から2024年には160円へと増加していますが、配当利回りはこの期間中に変動しています。2020年には3.79%でしたが、2021年と2022年には減少し、2023年には3.26%に上昇しました。

伊藤忠商事の配当額は、年々増加していることが確認できます。

なお、1月16日時点の配当利回りは、2.44%となっています。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があることに留意する必要があります。

総還元性向

伊藤忠商事の総還元性向は、2019年の39.3%から2023年にかけて変動し、2023年には33.3%になりました。

特に2022年に27.2%まで総還元性向が低下していますが、2023年にはやや回復しています。

経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。

経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。

経常利益の推移

伊藤忠商事の経常利益成長率を前年同期比で見ると、2022年第3四半期と第4四半期に大幅な成長が見られましたが、2023年は増減を繰り返し、2024年第1四半期には-1.5%とわずかな減少が見られました。

特に2024年第2四半期には、成長率は-19.4%となり、前年同期比で大きく下がっています。

経常利益率とは?

経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。

経常利益率

伊藤忠商事の経常利益率は、2023年第3四半期と第4四半期では、前年同期比でわずかに減少しました。

また、2024年第1四半期と第2四半期では、それぞれ9.02%と9.32%から8.97%と7.93%へと小幅な減少が見られました。

これは、全体的に経常利益率がやや下降傾向にあることを示しています。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

営業キャッシュフローマージン

伊藤忠商事の年間営業キャッシュフローマージンは、2019年の4.11%から2021年に8.65%へ上昇した後、2022年と2023年には6.52%と6.73%へと減少しました。

これは、営業キャッシュフローの割合が高まった後に若干の低下があったものの、依然として健全な水準を保っていることを示しています。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

具体的には、アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

伊藤忠商事のアクルアールは、2019年に約240億円のプラスでしたが、2020年と2021年にはそれぞれ約-3,770億円、約-4,940億円の大きなマイナスに転じ、2022年に約190億円のプラスに回復しましたが、2023年には再び約-1,380億円のマイナスになりました。

この変動は、伊藤忠商事の現金収入が会計上の利益と比較して一時的に多かった期間とそうでない期間があることを示しています。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える純資産(自己株式を除く)に対して、負債がどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

純資産は自社株買いによって比較的容易に増やすことが可能であるため、その影響を排除するために純資産から自己株式を除いています。

この比率が低ければ低いほど、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

伊藤忠商事の自己株式調整済み負債比率は、2023年第2四半期から2024年第2四半期にかけて1.44から1.60の範囲で推移しています。これはウォーレン・バフェットが望ましいとする0.80を大きく上回っており、純資産に対する負債の割合が高いことを意味します。この数値は、財務状態における一定のリスクを示唆している可能性があります。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

伊藤忠商事の固定長期適合率は、2023年第2四半期から2024年第2四半期にかけて、85.25%から87.49%の範囲内で推移しています。

この比率が100%以下であることから、伊藤忠商事の固定資産が安定した資金で賄われており、財務状況が安定していると判断できます。

総合評価

伊藤忠商事の成長性については、伊藤忠商事は、通期の連結最終利益を8000億円(前期は8005億円)、減益率0.1%減を見込んでいることから、5点中2点とします。

効率性については、直近4四半期全てで、前年同期の経常利益率を下回ったため、5点中1点とします。

現金の生成能力については、直近の営業キャシュフローマージンが過去5年間で3番目に高い値であることや、過去5年間で3回アクルアールがマイナスとなっていることから、5点中3点とします。

財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が1.52であることや、直近の固定長期適合率が87.49%であることから、5点中2.5点としています。

割安性については、下記の表のとおりであり、5点中1点とします。

従って、2024年1月17日時点の総合評価としては、25点中9.5点、Cランクとしました。

伊藤忠商事の評価は、成長性は2点で平均以下、効率性は1点で低いとしています。現金の生成能力は3点で平均的、財務の安定性は2.5点でやや安定しているが改善の余地ありと評価しています。割安性は1点で、株価が実質的な価値に対して割高、あるいは投資魅力が低いと判断しました。

なお、この評価は、あくまでも簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。

また、配当利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。

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