日本株

メガネの会社が半導体で世界一⁉ HOYA・アドバンテスト 技術の核心に迫る

前編

夕暮れ時の個別株観測所。大きな窓からは都会の摩天楼が見え、オレンジ色に染まった空が今日も一日の終わりを告げていた。42階のオフィスからは、ビジネス街の喧騒が遠くに沈んでいく。

デスクの上には、きらく所長お気に入りの磨き上げられたエスプレッソカップと、最新の株価チャートが広がっている。壁一面のディスプレイには、世界の株式市場のティッカーが静かに流れていた。

きらく: (エスプレッソの香りを楽しみながら、赤いネイルが印象的な手でカップを優雅に持ち上げ)今日は、世界市場で圧倒的なシェアを持つ二つの注目企業について、詳しく見ていきましょうか。

銭太郎: (いつものように少し前のめりになりながら、目を輝かせて)おお!世界シェアですかゼニ?どんな企業なんですかゼニ?

きらく: (黒いシルクのブラウスの袖をさりげなく整えながら)HOYAとアドバンテストよ。どちらも日本が世界に誇る技術企業なの。

あおい: (すらりとした指でメガネを直しながら。ネイビーのパンツスーツ姿で)あ、HOYAさんって、私のこのメガネのレンズもそうですよね?

きらく: (観察眼が光る)さすが気付いたわね、あおいちゃん。実はHOYAの事業は、あおいちゃんのそのメガネレンズのような「見える」に関する事業と、最先端の半導体材料という「見えない」ところで活躍する事業の2本柱なの。

銭太郎: (首を傾げながら、紺のスーツの襟元を少し緩めて)へぇ!でも所長、なんでメガネレンズ屋さんが半導体なんかやってるんですかゼニ?

きらく: (デスク上のチャートに細い指を滑らせながら)そこがポイントよ。実はどちらも「光学技術」という共通点があるの。メガネレンズも半導体材料も、光をどう制御するかという技術が核心なのよ。

銭太郎: (机に置かれた株価チャートを覗き込みながら)でも所長、半導体を作るのに光の技術が必要なんですかゼニ?

きらく: (レースのカーテン越しに差し込む夕日を見つめながら)いい質問ね。実は半導体を作るには、写真を現像するような工程が必要なの。昔、写真の現像でネガフィルムを使ったことはある?

あおい: (食いつくように身を乗り出し)あ!ネガフィルムに光を当てると、その模様が印画紙に写りますよね?(手元のiPadで素早く検索しながら)私、写真部だったので覚えてます!

きらく: (満足げな表情で)その通り。HOYAが作っているEUVマスクは、いわば「半導体のネガフィルム」なの。でもね...(プロジェクターを操作し、図面を投影しながら)普通の写真とは比べものにならないくらい精密なのよ。

銭太郎: (プロジェクターの光に照らされた図面に近づきながら)どのくらい精密なんですかゼニ?

きらく: (立ち上がり、スクリーンに向かって歩みながら)例えばこの親指の先ほどの大きさの半導体の中に、東京から大阪までの距離に匹敵する長さの配線が埋め込まれているの。髪の毛の太さの5000分の1ほどの細かさよ。

あおい: (メガネを光らせながら、手早くメモを取り)私なりに整理すると...

1. EUVマスクは「半導体の設計図」が刻まれた特殊な板

2. そこに極端紫外線(EUV)という特殊な光を当てると

3. シリコンの板に、超微細な回路パターンが焼き付けられる

...という感じですかね?

きらく: (ヒールの音を響かせながら自席に戻り)その通り。そしてこの技術、実は世界で作れる企業がほんのわずかしかないの。

■ 注目の大型成長株の解説 【HOYA(7741)】

- 目標株価:23,000円 ☆ 「眼鏡レンズと半導体材料で世界を牽引する技術企業」

<事業構造>

1. ライフケア事業(売上高70%)

- 眼鏡レンズ:世界トップシェア

- 医療機器:内視鏡で世界3位

- コンタクトレンズ:アイシティ展開

2. 情報通信事業(売上高30%)

- EUVマスク:世界トップシェア

- HDD用ガラス基板:データセンター向け

- FPDマスク:中国BOEとの合弁決定

<施策・実績>

・ラオス工場:25年3月期に再稼働決定

・中国:BOEとの合弁工場が下期稼働開始

・システム障害からの回復:眼鏡レンズ事業が正常化 ・海外売上高比率:77%

■ 重要用語解説

・EUVマスク:次世代半導体の製造に不可欠な部品。極端紫外線(EUV)を使用し、より微細な半導体回路を実現。

・半導体用マスク基板:半導体の回路パターンを転写するための原版となる基板。

・中国BOE:京東方科技集団。中国最大のディスプレイメーカー。

・メカトロ:メカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)の融合技術。

・DRAM検査装置:スマートフォンやパソコンの主要メモリー(DRAM)が正常に動作するかを検査する装置。不良品を発見し、製品の品質を保証する。

・非メモリー検査:CPUやGPUなど演算処理を行う半導体の検査。

・SoCテスタ市場:システムオンチップの検査装置市場。

・HBM:High Bandwidth Memory(高帯域幅メモリ)の略。AI処理に適した高性能メモリ。

・FPDマスク:テレビやスマートフォンなどの液晶・有機ELディスプレイを製造する際に使用する原版。ディスプレイの画素パターンを形成するために必要。

・HPC:High Performance Computing(高性能コンピューティング)の略。

後編

薄暮が濃さを増す中、会議室の照明が自動で明るさを増していく。

銭太郎: (ネクタイを少し緩めながら)ではもう一つのアドバンテストさんは、何をする会社なんですかゼニ?

きらく: (3D映像のように精緻な半導体の検査工程図を指し示しながら)アドバンテストは、その超精密な半導体が正しく動くかを検査する会社よ。特に得意なのが、DRAMという記憶用の半導体の検査なの。

銭太郎: (眉をひそめて)DRAMって何ですかゼニ?検査って具体的にどうするんですかゼニ?

あおい: (キッチンから戻ってきた所長用のハーブティーを差し出しながら)また料理で例えると...DRAMは「コックさんの作業メモ」みたいなものです。スマートフォンやパソコンが動いている時、一時的なデータを記録する場所なんです。(iPadで図を描きながら)例えば、LINEを開いているときに表示される会話内容とか...

きらく: (ハーブティーの香りを楽しみながら)そうね。アドバンテストのDRAMテスターは、「その作業メモが正しく書き込めるか、すぐに読み出せるか」を何百万回も繰り返しチェックする特殊な装置なの。一枚の半導体の中に何十億個もある記憶装置を、一つ一つ確認するのよ。

会議室の窓の外では、次々とオフィスビルの明かりが灯り始めていた。

銭太郎: (窓際に立ち、夜景を見つめながら)へぇ~!でも、そんな検査って他の会社でもできるんじゃないんですかゼニ?

きらく: (優雅にカップを置きながら)そこがポイントね。最新のAI用半導体は、1秒間に数十億回もの読み書きができるの。そんな高速な動作をテストできる装置を作れる企業は、世界でもごくわずかなのよ。

あおい: (黒板に図を描きながら)そうなんです。アドバンテストさんの検査装置がないと、私たちの使うスマートフォンやパソコンの信頼性は保証できないんです。不良品を見つけ出す「品質の守護神」みたいな存在なんですよ!

銭太郎: (興奮した様子で立ち上がり)すごいですねゼニ!これは投資するしかないゼニ!

きらく: (軽く咳払いして、モニターに最新の株価チャートを映しながら)ちょっと待って、銭太郎君。投資は慎重にね。両社の強みをまとめておきましょう:

ホワイトボードの前に立ち、赤と青のマーカーを手に取る。

1. 圧倒的な技術力

(赤のマーカーで丁寧に書き込みながら)

- HOYAはメガネレンズとEUVマスクで世界トップ

- アドバンテストは最先端の検査技術で世界をリード

- どちらも簡単には真似できない技術を持っている

2. 成長市場での強み

(青のマーカーに持ち替えて)

- AI時代で半導体の高性能化が加速

- それに伴いEUVマスクと検査需要も増加

- グローバル展開で成長機会が豊富

3. 財務の健全性

(緑のマーカーを取り出して)

- HOYAは高い利益率と潤沢な手元資金

- アドバンテストは検査需要増で業績拡大

- 両社とも海外売上高比率75%超のグローバル企業

あおい: (分析資料を丁寧にキャリーケースにしまいながら)私も調べてみたんですが、両社とも研究開発投資を積極的に行っていて、将来への準備もしっかりしているみたいです。

きらく: (窓際に立ち、夜景を背景に)ただし、投資はタイミングも大切よ。半導体業界には需要の波があるから、それも考慮に入れる必要があるわね。

銭太郎: (ネクタイを締め直しながら)はい!技術力は素晴らしいけど、投資は冷静に判断しないとダメですねゼニ!

夜景に浮かぶ無数の光が、まるで半導体の回路のように煌めいている。個別株観測所の窓からは、技術革新の最前線を行く企業たちの未来が、どこまでも広がっているかのようだった。

【アドバンテスト(6857)】- 目標株価:9,200円 ☆ 「半導体検査装置のリーディングカンパニー」

<事業構造>

1. 半導体テストシステム(売上高68%)

- メモリーテスター:DRAMテスターで世界トップシェア

- SoCテスター:AI/HPC向けが主力

- 車載向け:自動運転・EV関連

2. 周辺機器・サービス(売上高32%)

- メカトロ製品:検査装置の周辺機器

- サポート事業:保守・消耗品

<施策・実績>

・SoCテスタ市場規模(24年):32億~35億ドル

・HBM向けテスター:増産対応済み

・海外売上高比率:96%

・研究開発費:増額しても増益基調を維持

<両社共通の特徴> 1. 世界トップシェアの製品を保有 2. 高い技術力による参入障壁 3. 高水準の海外売上比率 4. 安定した財務基盤

■ 重要用語解説(再掲)

・EUVマスク:次世代半導体の製造に不可欠な部品。極端紫外線(EUV)を使用し、より微細な半導体回路を実現。

・半導体用マスク基板:半導体の回路パターンを転写するための原版となる基板。

・中国BOE:京東方科技集団。中国最大のディスプレイメーカー。

・メカトロ:メカニクス(機械工学)とエレクトロニクス(電子工学)の融合技術。

・DRAM検査装置:スマートフォンやパソコンの主要メモリー(DRAM)が正常に動作するかを検査する装置。不良品を発見し、製品の品質を保証する。

・非メモリー検査:CPUやGPUなど演算処理を行う半導体の検査。

・SoCテスタ市場:システムオンチップの検査装置市場。

・HBM:High Bandwidth Memory(高帯域幅メモリ)の略。AI処理に適した高性能メモリ。

・FPDマスク:テレビやスマートフォンなどの液晶・有機ELディスプレイを製造する際に使用する原版。ディスプレイの画素パターンを形成するために必要。

・HPC:High Performance Computing(高性能コンピューティング)の略。

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