三菱UFJ(8306)の投資判断
三菱UFJは、3つの大手銀行の中で最大手を擁する金融コングロマリットであり、国内最大規模を誇ります。
2005年10月に三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの統合によって誕生しました。
主に銀行業務、信託銀行業務、証券業務を提供しており、クレジットカード、貸金業務、リース業務、資産運用業務なども展開しています。
さらに、米州およびアジアでの事業展開も進めています。
基本情報は、こちらの表のとおりです。
株価のチャート
株価のチャートは、こちらのとおりです。
過去1年間の株価のパフォーマンスは、プラス72.15%となっています。
最新の決算
三菱UFJは5月15日に決算を発表しています。
2024年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が8兆5,077億円、前年同期比25.2%増、経常利益が前年同期から2.1倍の1兆8,019億円、純利益が前年同期から3.8倍の1兆2,979億円となりました。
粗利益は、前年の投信解約益の減少やMUFGユニオンバンク売却の影響で資金利益が減少しましたが、海外の融資関連手数料や受託財産業務の手数料が増加し、役務取引等利益が増加しました。
また、前年の国債等債券関係損益の大幅赤字の反動により、特定取引利益とその他業務利益が増加し、全体として増益となりました。
営業費用はMUFGユニオンバンク売却の影響もあり減少しました。
与信関係費用総額は、前年のMUFGユニオンバンク保有貸出金の評価損の反動により減少しました。
また、前年のMUFGユニオンバンク保有債券等の評価損の反動もあり、大幅な最終増益となりました。
なお、2024年3月期の連結純利益目標は1兆3,000億円、前期比16.4%増に据え置いています。
三菱UFJの事業リスク
三菱UFJの不良債権および与信関係費用は、国内外の景気悪化、資源価格の変動、不動産価格や株価の下落、貸出先の経営状況や経済環境の変動により増加する恐れがあります。
また、同社はデリバティブを含むさまざまな金融商品を扱い、大量の金融商品を保有しているため、国内外の金利、為替レート、有価証券などの市場変動に影響を受ける可能性があります。
さらに、米国のモルガン・スタンレーとの戦略的提携関係の変化もリスク要因となります。
EPS
EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たり純利益ともいわれます。
EPSからわかることは、企業の「収益力」と「成長性」の2つです。
数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。
また、同じ企業の当期EPSと前期以前のEPSを比較することで、企業が順調に成長しているか判断することもできます。
三菱UFJのEPSは2023年の初めには大幅な減少を見せましたが、その後急速に回復し、2023年第4四半期から2024年第2四半期にかけて大幅な成長を遂げています。
2024年第3四半期も引き続き増加し、36.8%の成長率を記録しています。この回復は、業績の改善と収益性の向上を示しています。
売上高の推移
2023年の各四半期で売上高は大幅に増加し、特に第2四半期には前年同期比76.5%の成長を記録しました。
2024年も成長が続いており、第1四半期で34.5%、第3四半期で36%の成長を見せています。
これらのデータから、三菱UFJは全体として堅調な成長を維持していることが分かります。
「利益」は意見、「キャッシュ」は現実
損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。
他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。
そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。
また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。
そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。
2021年は333%の成長を見せましたが、2022年にはマイナス71.8%と大幅に減少しました。
2023年は36.5%の成長を記録しましたが、2024年にはマイナス173.3%と再び大幅な減少に転じ、営業キャッシュフローはマイナスになっています。
この急激な変動は、経営状況の不安定さを示しています。
投資判断
それでは、三菱UFJの投資判断を行いたいと思いますが、続きの内容については、有料記事となります。
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