不動産再生市場の成長は続く
新築マンションの価格がバブル時代を超えて高騰しており、経済状況の厳しさと相まって、多くの人にとって住宅購入は困難になっています。
この背景には、日本経済の低迷、実質賃金の減少があります。
また、中国富裕層をはじめ、円安を反映し海外投資家などの物件購入が価格高騰を助長しているとの指摘もあります。
日銀の利上げなど、不動産価格の下落要因も想定されますが、その利上げペースは緩慢であることが予想されており、新築住宅の価格高騰は当面続くと見られています。
この状況の中、中古マンションや住宅をリノベーションして再販売する不動産再生ビジネスが注目されており、購入者にとって、手頃な価格で、魅力的に生まれ変わった物件を手に入れる機会を提供しています。
市場調査会社の富士経済「住宅リフォームと住生活関連サービスの市場を調査」によると、2022年の市場は21年比で10.3%増の7885億円となりました。
また、リノベーション済みの中古住宅の需要が高まっており、2030年には市場規模が2022年比で45%増の1兆1437億円に達すると予測されています。
競争は激化しているものの、デザイン性や品質の高い物件の供給が増え、中古住宅に対する消費者の認識もポジティブなものに変わっています。
新築マンションの価格上昇が続く中、リノベーションされた不動産への需要はさらに拡大することが予想されます。
また、現状のままでは収益を生まない遊休不動産、低稼働の不動産などを取得して付加価値を創出してから富裕層や資産家、事業法人などに売却し利益を得る不動産再生事業については、デフレ脱却の流れに乗り、割安な不動産株については、株価を大きく上昇させることが期待されています。
出遅れ銘柄のスクリーニング
こうした不動産再生事業を行っている銘柄のうち、下記の条件を満たしている出遅れ銘柄をピックアップしました。
条件1:2024年2月末の不動産業界の単純平均PER12.8倍を下回っている
条件2:2024年2月末の不動産業界の加重平均PER22倍を下回っている
条件3:増収又は増益を見込んでいる
期待度ランキング
個人的に期待度が低い順に出遅れ銘柄を紹介します。
期待度8位
LAホールディングス(PER8.3倍)
LAホールディングスは、新築不動産販売、再生不動産販売、不動産賃貸事業を展開しています。
LAホールディングス は、2月14日に決算を発表しています。
23年12月期の連結経常利益は前期比32.5%増の49.4億円に拡大し、24年12月期も前期比1.2%増の50億円に伸びを見込み、4期連続で過去最高益を更新する見通しとなりました。
これは、6期連続増収、4期連続増益になります。
同時に、前期の年間配当を210円から211円(前の期は200円)に増額し、今期も前期比9円増の220円に増配する方針としました。
直近3ヵ月の実績である10-12月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比34.7%減の16.8億円に落ち込み、売上営業利益率は前年同期の35.8%から20.9%に大幅低下しました。
年間の営業キャッシュフローは、3年連続マイナスです。
期待度7位
ADワークスグループ(PER7.6倍)
ADワークスグループは、中古マンションやビルを一棟仕入れて、付加価値を高めてから富裕層などに販売する不動産投資事業を行っています。
ADワークスグループは、2月8日に決算を発表しています。
23年12月期の連結最終利益は前の期比2.7倍の14.1億円に急拡大し、24年12月期も前期比10.3%増の15.6億円に伸びを見込み、4期連続で過去最高益を更新する見通しとなりました。
これは、4期連続増収、増益となります。
同時に、今期の年間配当は前期比1円増の9円に増配する方針としました。
直近3ヵ月の実績である10-12月期(4Q)の連結最終利益は前年同期比7.4倍の3.7億円に急拡大し、売上営業利益率は前年同期の4.2%から4.8%に改善しました。
期待度6位
ビーロット(PER5.5倍)
ビーロットは、不動産投資業を営む企業で、中古ビルやマンションの再生売却を行い、富裕層向けサービスに力を入れていることが特徴です。
また、ホテル開発も手掛けています
ビーロット は、2月15日に決算を発表しています。
23年12月期の連結経常利益は前の期比2.0倍の49.4億円に急拡大し、24年12月期も前期比2.3%増の50.6億円に伸びを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなりました。
これは、4期連続増益となります。
また、今期の年間配当は未定としました。
直近3ヵ月の実績である10-12月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比4.9%減の10.4億円に減少しましたが、売上営業利益率は前年同期の15.5%から29.9%に急上昇しました。
年間の営業キャッシュフローは、過去5年間のうち、2023年のみプラスとなっています。
期待度5位
プロパスト(PER4.7倍)
プロパストは、首都圏を中心にマンション開発や販売代理を手がける企業で、土地の再開発や中古不動産の再生事業も行っています。
プロパストは、1月9日に決算を発表しています。
24年5月期第2四半期累計(6-11月)の経常利益(非連結)は前年同期比15.6%増の24.2億円に伸びました。
併せて、通期の同利益を従来予想の12.3億円から21.7億円(前期は20.9億円)に76.8%上方修正し、一転して3.7%増益見通しとなりました。
直近3ヵ月の実績である9-11月期(2Q)の経常利益は前年同期比30.4%増の12億円に拡大しましたが、売上営業利益率は前年同期の14.7%から12.6%に低下した。
年間の営業キャッシュフローは、2019年から2023年の5年間のうち、直近の営業キャッシュフローは3番目に高い値となっています。
期待度4位
AndDo(PER10.2倍)
And Doホールディングスは、不動産売買仲介のフランチャイズチェーン運営を主業とし、特に高齢者向けリースバック事業(自宅を売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むことができるサービス)に注力しています。
また、不動産関連のテクノロジー(不動産テック)、リフォーム、住宅関連サービスなど、幅広い領域で事業を展開していることが特徴です。
And Doホールディングス は、2月13日に決算を発表しています。
24年6月期第2四半期累計(7-12月)の連結経常利益は前年同期比13.1%増の20.9億円に伸び、通期計画の36億円に対する進捗率は58.2%に達し、5年平均の44.6%も上回りました。
また、24年6月期通期の経常利益については、36億円、前年比7.2%増を見込んでいます。
直近3ヵ月の実績である10-12月期(2Q)の連結経常利益は前年同期比20.2%減の12.4億円に減り、売上営業利益率は前年同期の8.9%から5.9%に悪化しました。
過去5年間の営業キャッシュフローについては、2023年を除いてプラスとなっています。
期待度3位
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続きの記事では、期待度3位から1位までの銘柄を記載しています。
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