世界で最もダウンロードされている語学アプリ デュオリンゴ
今回は、注目のグロース株であるデュオリンゴの最新の決算と財務諸表を分析します。
デュオリンゴは、無料で多言語を学べるアプリとプラットフォームを提供するアメリカの企業です。
デュオリンゴの語学アプリの月間利用者数は、世界で8000万人超と言われており、世界で最もダウンロードされている語学アプリとなっています。
人工知能(AI)を早くから取り入れ、ゲーム感覚で言語学習ができ、英語やスペイン語など多くの言語コースを提供しています。
ビジネスモデルは、アプリ内広告とプレミアムサービスの収益に基づいており、オンラインで英語能力を証明する「Duolingo English Test」も展開しています。
今回は、そんなデュオリンゴを、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性、決算のサプライズ度の6つの観点から総合的に分析・評価したいと思います。
基本情報は、こちらの表のとおりです。
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株価のチャート
株価のチャートは、こちらのとおりです。
株価は右肩上がりであり、高値圏にあることが確認できます。
過去5年間の株価は、プラス51.52%となっています。
最新の決算
デュオリンゴは、2024年2月29日に2023年第4四半期決算を発表しています。
EPSについては、アナリスト予想0.16ドルに対して、結果0.26ドルで、アナリスト予想を上回りました。
四半期の売上高については、アナリスト予想1億4832万ドルに対して、結果1億5100万ドル、前年同期比45%増で、アナリスト予想を上回りました。
2024年第1四半期の売上高のガイダンスについては、アナリスト予想1億5935万ドルに対して、 結果1億6400万ドルから1億6700万ドル 、中値1億6550万ドル、前年比約43%増でアナリスト予想を上回りました。
2024年通期の売上高のガイダンスについては、アナリスト予想7億2,340万ドルに対して、結果7 億 1,750 万ドルから 7 億 2,950 万ドル、中値7億2,225万ドル、前年比約36%増でアナリスト予想を若干下回りました。
2023年第4四半期のハイライト
1日の間に少なくとも1回はアプリのアクセスや使用を行ったデイリー アクティブ ユーザー (DAU) は 2,690 万人で、前年同期から 65% 増加しました。
また、月に少なくとも1回はアクセスや使用を行った月間アクティブ ユーザー (MAU) は 8,840 万人で、前年同期から 46% 増加しました。
売上高の内訳
デュオリンゴの2023年通期売上高の内訳は、サブスクリプションから4億500万ドル(全体の約76.1%)、広告収入から5,000万ドル(約9.4%)、Duolingo English Testから4,100万ドル(約7.7%)、アプリ内購入から3,500万ドル(約6.6%)、その他から100万ドル(約0.2%)となっています。
サブスクリプションが売上の大部分を占め、デュオリンゴのビジネスモデルの中心であることが分かります。
各収入の成長率
2023年の通期売上高の内訳を見ると、サブスクリプションが前年同期比で48%増加し、最も大きな成長を遂げています。アプリ内の購入収入は94%という顕著な成長率を示しており、これも重要な成長領域であることが分かります。
一方で、広告収入とDuolingo English Testの成長はそれぞれ11%と26%で、比較的穏やかです。
その他の収入は9%の成長となっています。
これらの数字から、サブスクリプションとアプリ内購入がデュオリンゴの収益成長を牽引していることが見て取れます。
直近4回分の決算のサプライズ率
EPS
2023年第1四半期から2023年第4四半期までのEPSについては、全ての四半期で、アナリスト予想を上回っています。
アナリスト予想を何パーセント上回ったかを示すサプライズ率については、過去4四半期の平均は約220.4%、中央値140%となっています。
売上高
2023年第1四半期から2023年第4四半期までの売上高については、全ての四半期で、アナリスト予想を上回っています。
アナリスト予想を何パーセント上回ったかを示すサプライズ率については、過去4四半期の平均は約2.78%となっています。
PSRの推移
PSRは、Price to Sales Ratioの略称で、時価総額を年間売上高で割ったものです。
これは、新興成長企業の株価水準をはかる指標として用いられます。
この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。
デュオリンゴのPSRは2024年4月2日時点で17.16倍で、過去1年間と3年間の平均よりも高いです。
2023年初頭からPSRは上昇傾向にあり、これはデュオリンゴの成長への市場の期待を反映しています。
PBRの推移
PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価を1株当たりの純資産で割ったものです。
これは、現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安かを判断する指標として用いられます。
この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。
デュオリンゴのPBRは、2024年4月2日時点で13.79倍で、過去1年と3年の平均値を上回っています。
2022年からの増加は顕著で、市場がデュオリンゴの資産価値を高く評価していることを示しています。
EPS
EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たり純利益ともいわれます。
EPSからわかることは、企業の「収益力」と「成長性」の2つです。
数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。
また、同じ企業の当期EPSと前期以前のEPSを比較することで、企業が順調に成長しているか判断することもできます。
デュオリンゴのEPSは2022年第1四半期の-0.31ドルからスタートし、2023年第4四半期には0.26ドルにまで回復し、その間に大幅な成長を遂げました。
2022年第2四半期には大きな落ち込みがありましたが、その後は持ち直し、特に2023年に入ってからの成長率は顕著です。
売上高の推移
デュオリンゴの売上高は2022年第3四半期に9600万ドルから始まり、2023年第4四半期には1億5100万ドルに増加しました。
この期間の成長率は一貫して40%台を維持しており、特に最新の四半期では45.2%の成長を記録しています。
営業利益とは?
営業利益は、企業が本業で稼いだ利益です。
営業利益は売上高から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費を除くと求めることができます。
営業利益の推移
デュオリンゴの営業利益は、2022年第3四半期にマイナス2000万ドルでしたが、2023年第4四半期にはプラスの500万ドルに転じ、前年同期比127.8%の成長を遂げました。
営業利益率とは?
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、企業の本業の稼ぐ力が強いと判断できます。
営業利益率
デュオリンゴの営業利益率は、2022年第3四半期のマイナス20.83%から2023年第4四半期にはプラスの3.31%に改善しました。
このデータから、デュオリンゴは期間を通じて経営効率の向上を遂げ、最終的には利益を出す段階に至ったことがわかります。
「利益」は意見、「キャッシュ」は現実
損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。
他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。
そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。
また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。
そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。
フリーキャッシュフロー
フリーキャッシュフローとは、会社が事業活動で稼いだお金のうち、自由に使える現金です。
フリーキャッシュフローが多い企業ほど、経営状態が良好であり、将来的に、株主への配当や、自社株買いなどが行われることが期待されます。
デュオリンゴのフリーキャッシュフローは、2020年に1,400万ドルから始まり、2021年には大幅に減少して300万ドルになりました。
その後、2022年には1,233.3%の増加を経て4,000万ドルに達し、2023年にはさらに250%増加して1億4,000万ドルになりました。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。
デュオリンゴの営業キャッシュフローは2020年に1,800万ドルでしたが、2021年には半減し、その後、2022年に大幅に増加して5,400万ドル、2023年には1億5,400万ドルに達しました。
営業キャッシュフローマージンとは?
営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。
この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。
なお、「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」によると、営業キャッシュフローマージンは、理想として15%から35%程度あると素晴らしいとされています。
営業キャッシュフローマージン
デュオリンゴの営業キャッシュフローマージンは2020年に11.11%で、2021年には減少し3.59%となりました。
しかし、その後増加し、2022年には14.63%、2023年には29.00%となり、営業活動からの現金収入の効率が大幅に向上しています。
自己株式調整済み負債比率とは?
自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える負債が、純資産に対して何倍あるのかを示しています。
自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)
この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。
「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。
自己株式調整済み負債比率
デュオリンゴの自己株式調整済み負債比率は、2022年第4四半期に0.38で始まり、2023年第4四半期には0.45となっています。
この比率は、ウォーレン・バフェットが健全な財務を示す指標として挙げる0.80を大幅に下回っており、デュオリンゴの財務状態が安定していることを示しています。
固定長期適合率とは?
固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。
固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)
一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。
固定長期適合率
デュオリンゴの固定長期適合率は、2022年第4四半期に8.85%で、2023年を通じてわずかに変動しながらも、一貫して低い水準を維持しています。
この比率は100%を大きく下回っているため、デュオリンゴの固定資産は安定した資金で十分にまかなわれており、企業の財務状態が非常に安定していることを示しています。
理論株価(1年後の株価)
理論株価は、企業の利益予想などをもとにした計算上の株価です。
今回は、企業の利益予想と予想PERをもとに、将来のデュオリンゴの株価を求めたいと思います。
理論株価に対して、低い株価で取引されている銘柄については、将来的に株価の上昇が期待されます。
それでは、デュオリンゴの理論株価を求め、現在の株価とどれくらい乖離しているのかを確認したいと思いますが、続きの内容については、有料記事となります。
記事を購入していただくか(300円)、メンバーシップに加入して、メンバーになっていただくことで、読むことができます。
メンバーシップは、初月無料ですので、月末までに退会すればご負担0円で、お試しすることができます。
続きの記事では、デュオリンゴの理論株価のほか、JTを、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性、決算のサプライズ度の6つの観点から総合的に分析・評価しています。
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