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【kabukura.aiで有料部分の内容を公開】世界とひとりのために 三菱商事

世界とひとりのために 三菱商事

今回は人気の商社株で、2024年2月6日に決算を発表した三菱商事の決算と財務諸表を解説します。

三菱商事は、日本の大手総合商社の一つです。様々な事業分野に幅広く展開しており、天然ガス、自動車、化学品、食品などの分野で活動しています。

グローバルに事業を展開し、多様な商品やサービスを提供していることで知られています。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

今回は、三菱商事を、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に分析・評価します。

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株価のチャート

株価のチャートは、こちらのとおりです。

株価は、右肩上がりであり、高値圏にあることが確認できます。

過去5年間の株価のパフォーマンスは、プラス248.6%となっています。

最新の決算

三菱商事は2月6日に2024年第3四半期決算を発表しています。

24年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結最終利益は前年同期比27.1%減の6966億円に減少しました。

また、通期計画の9500億円に対する進捗率は73.3%にとどまり、5年平均の78.5%も下回りました。

直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結最終利益は前年同期比2.2%減の2305億円となりました。

前年同期比での減益の要因は、資源価格の鎮静化や前期のキャピタルゲインの反動と説明されています。

事業別の純利益

三菱商事の第3四半期累計の純利益について詳しく見ると、金属資源セクターが最も高い純利益を記録しており、2,169億円で全体の約31.1%を占めています。

次に、自動車・モビリティセクターが1,239億円で約17.8%、天然ガスセクターが1,291億円で約18.5%を占めています。

これらのセクターは三菱商事の収益の大きな柱となっています。

一方で、化学ソリューションは58億円で約0.8%、電力ソリューションは153億円で約2.2%となっており、これらのセクターは比較的小さな割合を占めていますが、事業ポートフォリオの多様化に貢献しています。

事業別の純利益の成長率

三菱商事の各事業別の第3四半期累計純利益における前年同期比成長率を見ると、電力ソリューションが1,056.3%という驚異的な成長を遂げています。

これは、前年同期に計上した米国小売業における電力・ガス調達契約評価損の反動や欧州総合エネルギー事業における持分利益の増加によるものです。

一方で、化学ソリューション事業は-75.6%と大きく減少しており、金属資源も-43.7%と大幅な減少を見せています。

金属資源については、豪州原料炭事業における市況下落による影響を受けて、減損となりました。

予想PERの推移

PERは、Price Earnings Ratioの略称で、時価総額を純利益で割るか、株価を一株当たりの利益で割ることで求めることができます。

これは、株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する指標として用いられます。

この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。

三菱商事の予想PERは15.8倍で、過去1年平均10.4倍、過去2年平均8.7倍です。卸売業界の平均PERは12.2倍、加重平均は10.9倍で、三菱商事の評価が業界平均を上回っています。

三菱商事の予想PERが業界平均を上回っていることから、市場が三菱商事の将来の成長や収益性に対して比較的ポジティブな見方をしていると考えられます。

PBRの推移

PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価を1株当たりの純資産で割ったものです。

これは、現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安かを判断する指標として用いられます。

この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。

三菱商事のPBRは2024年3月22日時点で1.69倍で、業界平均を上回っています。

これは市場が三菱商事の資産価値を高く評価していることを示しており、同社に対する投資家の信頼の高さを反映しています。

ただし、高いPBRは過大評価のリスクも含むため、他の財務指標と併せて分析する必要があります。

年間配当と配当利回りの推移

三菱商事の年間配当は2019年の41.6円から2023年には60円に増加しましたが、配当利回りは2019年の4.07%から2023年には3.79%に変動しています。

配当額の増加にも関わらず利回りが一貫して上昇しないのは、株価の上昇が配当増加を上回っているためと考えられます。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。

総還元性向

三菱商事の総還元性向は、2019年に33.6%から始まり、2020年には92.0%へ大幅に上昇しました。

2021年には更に増加し、126.2%に達しましたが、2022年には23.6%へと大きく減少し、2023年には40.6%に回復しました。

EPS

EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たり純利益ともいわれます。

EPSからわかることは、企業の「収益力」と「成長性」の2つです。

数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。

また、同じ企業の当期EPSと前期以前のEPSを比較することで、企業が順調に成長しているか判断することもできます。

三菱商事のEPSは2023年を通じて大幅に成長しましたが、2024年に入ると減少に転じ、会社側のガイダンスでは第4四半期も減少が予想されています。

売上高の推移

三菱商事の売上高は、2023年第1四半期から第4四半期にかけて増加傾向にありましたが、2024年に入ってからは第1四半期から第3四半期にかけて減少しています。

経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ資産の運用利益や銀行からの利息など、事業を行って得た利益です。

経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。

経常利益の推移

三菱商事の経常利益は、2023年第1四半期に大幅な増加を見せましたが、その後は第2四半期から第4四半期にかけて減少傾向にあります。

2024年に入ると、第1四半期に再び大きく減少しましたが、第2四半期と第3四半期では減少幅が縮小しています。

経常利益率とは?

経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。

経常利益率

三菱商事の2023年第4四半期から第3四半期の営業利益率については、2024年第3四半期を除いた3つの四半期が前期の利益率を下回っており、利益率は下降傾向にあります。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローとは、会社が事業活動で稼いだお金のうち、自由に使える現金です。

フリーキャッシュフローが多い企業ほど、経営状態が良好であり、将来的に、株主への配当や、自社株買いなどが行われることが期待されます。

三菱商事のフリーキャッシュフローは、過去数年で大きな成長を遂げています。特に2023年は前年比で約97.3%増となり、フリーキャッシュフローが大幅に向上しています。

2021年と2022年も安定した成長を維持しており、企業の財務健全性や資金調達能力が強化されていることが示されています。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

三菱商事の営業キャッシュフローは2023年に前年比82.8%増の約1.93兆円と大幅に成長し、事業からの強力な現金生成能力を示しています。

過去数年を通じて、営業キャッシュフローは着実に増加しており、三菱商事の事業活動からの現金生成能力が強まっていることが確認できます。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

なお、「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」によると、営業キャッシュフローマージンは、理想として15%から35%程度あると素晴らしいとされています。

営業キャッシュフローマージン

三菱商事の営業キャッシュフローマージンは、2023年に過去5年間で最高の8.95%に達し、前年比で着実に増加しています。これは企業効率の向上を示しています。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

三菱商事のアクルアールは2023年に大幅なマイナスを記録し、過去数年間で現金収入が会計上の利益を大きく上回っていることを示しています。

これは、同社が質の高い利益を生み出している強い証拠です。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える負債が、純資産に対して何倍あるのかを示しています。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

三菱商事の自己株式調整済み負債比率は、四半期ごとにわずかに改善していますが、ウォーレン・バフェットが提唱する理想的な0.80を下回る水準にはまだ達していません。

この比率が示すのは、企業の純資産に対して負債の割合が高いことを意味し、財務の安定性に関して改善の余地があることを示しています。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

三菱商事の固定長期適合率は、四半期ごとに一貫して100%以下で推移しており、これは企業の固定資産が安定した資金で賄われていることを示しています。

この指標からは、三菱商事の財務状況が安定していることが読み取れます。

総合評価

それでは、三菱商事を、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に分析・評価したいと思いますが、続きの内容については、有料記事となります。

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