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世界首位の半導体銘柄、信越化学 決算&財務データまとめ

世界首位の半導体銘柄、信越化学

今回は半導体シリコンウエハの最大手である信越化学の決算と財務データをまとめます。

信越化学は、主力製品である塩化ビニル樹脂と半導体シリコンで世界首位の市場シェアを誇っています。

また、事業は生活環境基盤、電子材料、機能材料、加工・商事・技術サービスの4分野に広がっています。

同社の強みは、業界をリードする塩化ビニル樹脂と半導体シリコンウエハーだけでなく、ケイ素樹脂を含む多岐にわたる製品ラインナップと堅実な経営体質にあります。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

今回は、信越化学を、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に分析・評価します。

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株価のチャート

株価のチャートは、こちらのとおりです。

過去1年間の株価のパフォーマンスは、プラス45.68%となっています。

最新の決算

信越化学は4月25日に決算を発表しています。

24年3月期の連結経常利益は前の期比22.8%減の7872億円に減少しました。

また、事業を取り巻く様々な変動要因と中東情勢を理由として、 2025年3月期の業績見通しは開示されませんでした。

同時に、今期の年間配当は未定としました。

直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比12.5%減の1714億円に減り、売上営業利益率は前年同期の29.4%から23.9%に低下しました。

2024年3月期の各事業の動向

生活環境基盤材料事業について、国内の塩化ビニル市場では、中国メーカーからの供給増加により価格下落の圧力がかかりました。

か性ソーダに関しても、同じ課題に直面していることが報告されています。

電子材料事業について、半導体市場が一昨年秋以降、需要減少が継続しましたが、その一方で回復の兆しも見られました。

そのような環境下で、同社はシリコンウェハー、フォトレジスト、マスクブランクスなどの半導体材料の供給維持に尽力したと報告されています。

一方、希土類磁石についても、産業機器向けの需要減少が続いたものの、自動車などの他の分野での新規需要開拓に注力しています。

機能材料事業について、汎用製品は中国経済の低迷に起因する需要減少と価格下落が後半にかけて一層深刻化しました。

そのため、同社は高付加価値製品の販売拡大により利益確保に注力しましたが、タイにあるシリコーン製造設備の資産価値下落により、105億円の損失を計上せざるを得なかったと報告されています。

加工・商事・技術サービス事業について、半導体ウエハー関連容器は、工程内用を中心に低迷が続きましたが、自動車産業の回復に伴い、自動車用入力デバイスは好調な動きを見せました。

さらに、訪日外国人客の増加を背景に、外食産業や宿泊産業向けの食品包装用塩ビラッピングフィルムの販路が拡大しました。

事業別の営業利益

信越化学の営業利益の分布は、生活環境基盤材料が3,219億円で全体の45.8%、電子材料が2,721億円で38.7%を占めています。

機能材料と加工・商業・技術サービスはそれぞれ850億円、241億円で、全体の比率は低いです。

主力は生活環境基盤材料と電子材料の二つのセグメントです。

事業別の営業利益の成長率

信越化学の事業部門の前年同期比成長率は全体的に減少しています。

生活環境基盤材料部門がマイナス41%で最も大きく減少し、機能材料部門も35%の減少を記録しました。

電子材料部門はマイナス10%、加工・商業・技術サービス部門はマイナス8%となっており、各部門で収益が前年に比べて落ち込んでいます。

年間配当と配当利回りの推移

配当利回りは、2020年3月期の2.05%から2023年3月期には最高の2.34%に達しましたが、2024年3月期には1.52%に減少しました。

同期間、年間配当は44円から100円に増加し、2024年も100円を維持しています。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。

総還元性向

2020年3月期の総還元性向は32.50%からスタートし、2021年3月期には39.00%に増加しましたが、2022年3月期には34.40%に減少しました。

その後、2023年3月期と2024年3月期には大幅に増加し、それぞれ57.90%と59.20%に達しています。

EPS

EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、1株当たり純利益ともいわれます。

EPSからわかることは、企業の「収益力」と「成長性」の2つです。

数値が高いほど企業の収益力は高いと見ることができます。

また、同じ企業の当期EPSと前期以前のEPSを比較することで、企業が順調に成長しているか判断することもできます。

2023年にはEPSが堅調に成長し、第2四半期には193円で81.3%の増加を記録しましたが、2024年に入ると減少に転じ、第1四半期は76円でマイナス15.4%となりました。

その後も2024年を通じて成長率がマイナスを続け、第4四半期は261円でマイナス25.8%に達しました。

この連続する減少は業績の悪化を示しています。

売上高の推移

2023年第2四半期の売上高は7526億2900万円で、成長率は48.4%でしたが、2024年には売上が減少し、第4四半期は5915億3400万円でマイナス8.4%に落ち込みました。

この連続する売上減少は、企業の業績が顕著に下降していることを示しています。

経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ資産の運用利益や銀行からの利息など、事業を行って得た利益です。

経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。

経常利益の推移

2023年第2四半期に経常利益が2963億9300万円で71.6%増加しましたが、その後減速し、2024年には減少傾向が顕著になりました。

2024年第4四半期には1714億9600万円で前年同期比マイナス12.5%を記録し、年を追うごとに経常利益の減少が続いています。

この傾向は、企業の業績が厳しい状況にあることを示しています。

経常利益率とは?

経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。

経常利益率

信越化学の2024年第1四半期から第4四半期の経常利益率については、全ての四半期が前期の利益率を下回っており、利益率は下降傾向にあります。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

2019年から2023年までの営業キャッシュフローは、初期の減少後に大幅な回復を見せました。

2020年は4011億7600万円でマイナス2.7%となりましたが、2021年と2022年にはそれぞれ5535億2800万円、7880億1300万円と増加しました。

しかし、2023年には7551億8300万円に減少し、マイナス4.2%を記録しました。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

なお、「MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法」によると、営業キャッシュフローマージンは、理想として15%から35%程度あると素晴らしいとされています。

営業キャッシュフローマージン

アステラス製薬の営業キャッシュフローマージンは、2019年の26.72%から2023年にかけて順調に増加し、2023年には31.27%に達しました。この期間にわたるマージンの向上は、企業の効率的な資金管理と経営の健全性の強化を示しています。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

アステラス製薬のアクルアールは過去5年間で一貫してマイナスを記録し、2023年にはマイナス2434億8800万円に達しました。

これは会計上の利益を上回る現金収入を示しており、企業が質の高い利益を継続的に生み出していることを反映しています。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える負債が、純資産に対して何倍あるのかを示しています。

例えば、自己株式調整済み負債比率が2の場合、企業の負債が純資産の2倍あることを示します。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

この企業の自己株式調整済み負債比率は、2023年第4四半期に0.17で始まり、2024年を通じて0.15から0.16の間で非常に安定しています。

この非常に低い比率は、企業の財務が極めて健全であり、低リスクな構造を持っていることを示しており、将来の経済的変動に対して強い耐性を持っています。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

この企業の固定長期適合率は2023年第4四半期の44.21%から2024年第4四半期に45.63%へとわずかに増加していますが、全期間100%以下を維持しており、企業の財務状態が非常に安定していることを示しています。

この安定は長期的な財務安全性に寄与しています。

ネットキャッシュ比率とは

ネットキャッシュ比率とは、資産総額に対する資金の豊富さを計る尺度です。

ネットキャッシュとネットキャッシュ比率の定義については、長者番付1位となった伝説のサラリーマン投資家、清原達郎氏のネットキャッシュ比率の定義を採用しています。

ネットキャッシュ=流動資産+投資有価証券×70%-負債

ネットキャッシュ比率=ネットキャッシュ÷時価総額

ネットキャッシュ比率=(流動資産+投資有価証券×70%-負債)÷時価総額

ネットキャッシュ比率が1の企業については、「会社がただで買えるほど割安」であり、数字が大きいほど割安と判断できます。

また、清原氏曰く、ネットキャッシュ比率が1を超えている企業については、「ただで会社をもらった上で現金まで貰える」ほど割安だとされています。

より詳しい内容については、清原達郎氏の「わが投資術 市場は誰に微笑むか」をご覧ください。

ネットキャッシュ比率

それでは、信越化学のネットキャッシュ比率を確認したいと思いますが、続きの内容については、有料記事となります。

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続きの記事では、信越化学を、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に分析・評価もしています。

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