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人気高配当株、三菱HCキャピタル 最新の決算&財務諸表を解説 2024年1月

高配当株の王様、三菱HCキャピタル

今回は、人気の高配当株である三菱HCキャピタルの最新の決算と財務諸表を分析します。

三菱HCキャピタルは、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員で、日本の総合リース会社です。

機械、器具、航空機、海上コンテナ、鉄道貨車などのリースやレンタルを行っています。

そのほかにも、環境、不動産やモビリティ関連サービスなどのビジネスを展開しています。

この記事を読めば、三菱HCの株を買うにあたって、最低限知っておくべき三菱HCの業績や財務状況を把握することができます。

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最新の決算

三菱HCキャピタルは、2023年11月10日に2024年第2四半期決算を発表しています。

24年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結経常利益は前年同期比11.7%減の669億円に減少しました。

航空事業が着実に業績回復を続けるとともに、海上コンテナリース事業も期初計画比にて好調に推移したものの、 計画外の米国不動産事業における損失や環境エネルギー事業における減損損失の計上などにより、 2024年3月期 第2四半期の純利益は前年同期比104億円(16.5%)減益の527億円となりました。

2024年3月期 第2四半期の純利益における通期業績予想(純利益1,200億円、前年同期比3.2%増)に対する進捗は43.9%となりました。

航空事業の純利益が下期偏重であること、海上コンテナリース事業が 好調を継続するとともに、アセット売却益の上振れも見込むことから、通期業績予想は維持しました。

直近3ヵ月の実績である7-9月期(2Q)の連結経常利益は前年同期比13.8%減の291億円に減り、売上営業利益率は前年同期の7.0%から6.0%に悪化しました。

株主還元については、配当によって行うことを基本に、利益成長を通じて配当総額を高めていくこととしています。

年間配当と配当利回りの推移

三菱HCの年間配当と配当利回りを2020年から2024年1月24日まで見ると、配当金額は徐々に増加していますが、配当利回りは変動しています。

2020年には配当利回りが4.70%でしたが、2024年1月24日には3.62%まで下がり、この期間の株価の変動が影響していることが伺えます。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があることに留意する必要があります。

総還元性向

三菱HCの総還元性向は2019年の30.4%から始まり、2020年には31.5%にわずかに上昇し、その後2021年には大幅に上昇して41.1%に達しました。

2022年と2023年では、総還元性向は40%台を維持しており、2021年以降はより積極的な株主還元政策を継続していることがわかります。

最新の損益計算書(PL)

損益計算書を見ると、企業がどれくらい売上を上げ、経費をどれだけ使い、その結果どれだけ利益が出たかが把握できます。

こちらが最新の三菱HCの損益計算書(PL)です。

まず、売上高が約9425億円と非常に高く、これは同社が大規模な事業活動を行っていることを示しています。

販売した商品・サービスの原価である売上原価も約7675億円と高く、売上原価が売上高に占める割合が高いことが分かります。

営業外収益は合計で約130億円で、これには受取利息などが含まれています。

「受取利息」とは、企業が保有する預金、債券、ローンなどの金融資産から得られる利息収入のことを指します。

これは、三菱HCが多様な収益源を持っていることを示しており、事業だけでなく、他の投資からも収益を得ていることがわかります。

全体的に見ると、三菱HCの損益計算書は、同社が大規模な売上を達成し、多角的な収益源を有していることを反映しています。

最新のキャッシュフロー計算書(CS)

キャッシュフロー計算書を見ると、どのような理由でいくらの現金が入ってきて、どのような理由でいくらの現金が出ていったのかが分かります。

こちらが最新の三菱HCのキャッシュフロー計算書(CS)です。

営業活動によるキャッシュフローが約389億円となっており、これは会社の日常的な事業活動から得られる現金の流入と流出を示しています。

資金原価及び支払利息の支出が約1023億円となっている点が注目に値します。これは、会社が運営資金のために支払う利息の大きさを示しており、資金調達のコストが高いことを示しています。

一方、投資活動によるキャッシュフローは約159億円のプラスです。これは定期預金の払戻による収入約747億円が大きく影響しています。しかし、賃貸資産の取得による支出が約3617億円と非常に大きく、会社が賃貸資産の拡大に積極的に投資していることがわかります。

財務活動では、長期借入れによる収入と社債の発行による収入の合計は約8330億円となっていますが、これに対して長期借入金の返済による支出と社債の償還による支出の合計が約9297億円となっており、財務活動によるキャッシュフローは約1306億円のマイナスです。

これは、新たな資金調達よりも借金の返済の方が大きく、三菱HCが既存の負債を積極的に返済していることを示しています。

総じて、三菱HCのキャッシュフロー計算書は、会社が積極的な資産投資と資金調達を行っている様子を示しています。営業活動からのキャッシュフローがプラスである一方で、投資活動と財務活動における大きな支出が目立ち、会社の財務戦略の一部を垣間見ることができます。

最新の貸借対照表(BS)

貸借対照表を見ると、企業の資産、負債、および純資産がどれくらいあるのかなど、企業の財務状態が分かります。

こちらが最新の三菱HCの貸借対照表(BS)です。

まず、資産の側面を見ると、資産合計が約11.29兆円となっています。これは非常に高い額で、三菱HCの規模の大きさを示しています。

賃貸資産は約3.76兆円で、これは会社が不動産などの賃貸事業に大きく投資していることを示しています。

また、流動資産は約6.3兆円あり、流動資産が三菱HCの資産の半分以上を占めています。

流動資産が多いことは、短期的な債務や急な支出に対応する能力があることを示唆しています。

負債の面では、負債が9.6兆円となっており、これは会社の総資産に対してかなり大きな割合を占めています。

また、長期借入金と社債の合計が約5.3兆円となっており、長期的な資金調達に依存していることが分かります。

また、純資産合計が約1.67兆円で、これは負債に比べて比較的小さいですが、利益剰余金と資本剰余金の合計が約1.28兆円となっており、これは会社が蓄積している現金を示しています。

総じて、三菱HCの貸借対照表は大規模な資産基盤と、それに伴う相応の負債水準を示しています。賃貸資産や有形・無形固定資産など、長期的な資産に重点を置いている一方で、長期借入金や社債による資金調達も大きな役割を果たしています。

これは、三菱HCが大規模な投資を行いながらも、長期的な財務戦略を通じてこれらの資産を支えていることを示しています

経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。

経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。

経常利益の推移

2022年第4四半期の経常利益が前年同期比で187.4%と大幅に増加し、2023年第1四半期では103.3%の成長を遂げています。

しかし、2023年第2四半期以降は成長率が低下し、特に2024年第1四半期と第2四半期では前年同期比でマイナス成長を記録しています。

経常利益率とは?

経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。

経常利益率

三菱HCの四半期ごとの経常利益率を前年同期比で見ると、2023年第3四半期は、前年同期と比較して経常利益率が大幅に上昇しており、これは収益性の向上を示しています。

しかし、2023年第4四半期は、前年同期からわずかな減少があり、2024年第1四半期、第2四半期にかけては更なる経常利益率の低下が見られます。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

営業キャッシュフローマージン

三菱HCの営業キャッシュフローマージンは、2021年に21.03%と高い水準でしたが、2022年には11.09%に減少しています。

2023年第2四半期(連結累計期間)ではさらに3.39%に低下し、2023年全体では2.47%にまで減少しています。

しかし、2024年第2四半期(連結累計期間)には4.12%と改善していますが、過去数年間の高い水準からはまだ低い状態です。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

三菱HCのアクルアールを分析すると、2021年と2022年ではアクルアールがマイナスであり、これは営業キャッシュフローが純利益を上回り、現金収入を伴う質の高い利益を示しています。

しかし、2023年以降はアクルアールがプラスに転じ、これは現金収入が会計上の利益を下回り、質の低い利益を生み出している状況を示しています。

特に2023年はこの傾向が顕著で、2024年の第2四半期には若干の改善が見られますが、依然として現金収入を伴わない質の低い利益を生み出しています。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える純資産(自己株式を除く)に対して、負債がどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

純資産は自社株買いによって比較的容易に増やすことが可能であるため、その影響を排除するために純資産から自己株式を除いています。

この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

三菱HCの自己株式調整済み負債比率は、2023年第2四半期から2024年第2四半期にかけて6.23から5.77へと減少しています。

これは、三菱HCの負債が純資産に対して非常に高い割合を占めていることを意味します。

三菱HCキャピタルの負債比率が高い理由を考察する際、同社が総合リース会社であることが重要な要因です。

この種のビジネスモデルでは、機械、航空機、海上コンテナなど、多様な資産を保有し、それらを顧客にリースすることが一般的です。

これらの資産は高価であり、その購入や維持には大量の資金が必要です。通常、これらの資産は負債を通じて資金調達されます。

したがって、三菱HCキャピタルの負債比率が高いのは、そのビジネスモデルが大量の資産保有を必要とし、それに伴って高いレベルの負債を抱えることが一因と考えられます。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

三菱HCの固定長期適合率は、2023年第2四半期の61.73%から2024年第2四半期の63.17%まで、一貫して100%以下で推移しています。

これは、同社の固定資産が純資産と固定負債によって適切に賄われており、資産の資金調達が長期的な安定性を持ち、短期的な資金繰りに困るリスクが比較的少ないことを意味します。

総合評価

三菱HCの成長性については、2024年3月期通期の純利益を1200億円、前年同期比3.2%増を見込んでいることから、5点中3点とします。

効率性については、直近4四半期で、1四半期が前年同期の経常利益率を大幅に上回ったことや、全体的に利益率が横ばいであることから、5点中3点とします。

現金の生成能力については、直近の営業キャシュフローマージンが過去5期間で3番目に高い値であること、過去数年間の高い水準と比較して、直近は低いマージンであることや、過去5期間で2回アクルアールがマイナスとなっていることから、5点中2.25点とします。

財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が5.77であること、負債による資金調達を必要とするビジネスモデルであることや、直近の固定長期適合率が63.17%であることから、5点中3.5点としています。

割安性については、予想PERの推移が、こちらの表のとおりであり、最新の予想PERが全ての期間の平均値を上回っていることや、2024年3月期通期の純利益を1200億円、前年同期比3.2%増を見込んでいることから、5点中2点とします。

従って、2024年1月25日時点の総合評価としては、25点中13.75点、Bランクとしました。

三菱HCの成長性の3点は、市場において平均的な成長を示していることを意味し、効率性も同様に3点で平均的なパフォーマンスを示しています。

現金の生成能力が2.25点であることは、この領域でやや低いパフォーマンスを示していることを意味します。

一方で、財務の安定性は3.5点と比較的高く、企業の財務基盤が比較的安定していることを示しています。

最後に、割安性が2点と評価されているのは、株価がその実質価値に比べてやや高い状態であることを示しています。

なお、この評価は、あくまでも簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。

また、配当利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。

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