JOLTS調査が示す労働市場の急減速:FRBの0.5ポイント利下げ観測強まる
9月5日の米国市場の概要です。
- 米国株式市場の動向: 9月5日の米国株式市場では、ニューヨークダウ平均株価が小幅に上昇し、前営業日比38ドル04セント高の40,974ドル97セントで取引を終えました。一方、ナスダック総合株価指数は52.002ポイント安の17,084.296で取引を終了しました。
- 経済指標の影響: 7月の米雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が2021年1月以来の低水準となり、米国労働市場の減速感が浮き彫りになりました。これにより、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)が0.5ポイントの利下げを行うとの見方が強まり、全体相場を支える形となっています。
- 市場心理と警戒感: 9月は歴史的に株価パフォーマンスが悪い月とされており、市場心理に影響を与えています。特に製造業の活動低迷が続くとの見方から、投資家の警戒感が高まっています。
内需関連株が健闘:食品・倉庫・陸運業が示す日本経済の底力
9月5日の日本市場の概要です。
- 日経平均株価の動向: 9月5日の日経平均株価は3日続落し、終値は前日比390円09銭安の36,657円09銭となりました。取引中に一時680円以上下落する場面もありましたが、その後は下げ幅を縮小し、一時プラス圏に浮上する場面も見られました。
- 影響要因: 円高と米国のハイテク株安が主な要因として挙げられます。特に半導体関連株への売り圧力が強まり、日経平均株価の重荷となりました。また、米国の雇用統計発表を控えた慎重な市場ムードも影響しました。
- 内需関連株の動向: 食品や倉庫、陸運業などの内需関連株は比較的堅調で、東証33業種中15業種が上昇しました。特に激安スーパーなど生活防衛関連株が注目を集めました。
- その他の市場動向: 東証プライム市場では売買代金が4兆円を超え、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が拮抗しました。新興市場では東証グロース市場250指数が反発しました。
ISM指数5カ月連続50割れ:米国製造業の低迷が示す景気の行方
- ISM製造業景況感指数: 8月の米国供給管理協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想を下回り、米国の景気減速への警戒感が強まりました。この指標は5カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回っています。
- 米国利下げ観測: 米国の利下げ観測が強まったことでドル安が進行し、日本株式市場には米国景気への不安と円高のダブルパンチとなっています。
これらの要因が重なり、米国株式市場は不安定な状況にあります。特にハイテク株や半導体関連株への影響が顕著であり、今後の動向に注目が集まっています。
NVIDIAとAMDの明暗:半導体業界に見る投資家心理の揺れ動き
米国市場のセクター動向です。
医療施設REITおよびその他のREIT
米国REIT市場では、医療施設REITを筆頭に半数以上のセクターが上昇しました。これは、米国株式市場全体が前日の急落から反発する中で、REIT市場における買い需要が強かったためです。
公益事業と生活必需品セクター
公益事業や生活必需品セクターは堅調な動きを見せました。これは、連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測が強まったことを背景に、景気変動の影響を受けにくい業種として注目されたためです。
半導体およびハイテクセクター
半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は続落したものの、一時的に上昇する場面も見られ、全体的な売り圧力は限定的でした。一方、Advanced Micro Devices(AMD、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)は3%近く上昇しました。しかし、ナスダック100指数は大幅安となり、特に半導体株とハイテク株全般に強い売り圧力がかかりました。
エネルギーセクター
エネルギーセクターは下落し、この日は特に目立った下げを記録しました。
内需株が光る時代?陸運・建設・食料品セクターの堅調さが示す投資トレンドの変化
日本株のセクター動向です。
- 半導体・ハイテクセクター: 半導体関連株は米国市場での下落を受けて、日本市場でも売りが優勢となりました。東京エレクトロンやレーザーテックなどの銘柄が大きく下落しています。
- 輸出関連セクター: 電機や自動車などの輸出関連株も下落しました。円高の進行が主なマイナス要因となっています。
- 内需関連セクター: 陸運、建設、食料品、倉庫・運輸関連などの内需関連セクターは堅調な動きを見せました。
NVIDIAの104ドル急落:AIブームの陰りか、それとも絶好の買い場か
米国市場の個別株の動向です。
NVIDIA(エヌビディア)
株価は2024年9月4日に104ドルまで下落しました。これは主に売上高見通しが期待を下回ったことが要因です。しかし、AIブームの影響で長期的な成長への期待は依然として高く、一部の投資家はこれを押し目買いの機会と捉えています。
Apple(アップル)
株価は2024年においても高水準を維持しています。iPhone 16シリーズやApple Watchシリーズ10の発表が予定されており、これらの新製品が業績を支えると期待されています。また、2025年に向けた増益率が期待されており、研究開発への投資が将来的な成長を後押しすると考えられています。
Chevron(シェブロン)
2024年第2四半期の売上高が前年同期比4.7%増加しましたが、利益は減少しました。原油価格の上昇が収益にプラスの影響を与えており、特に中東地域での地政学的リスクが原油価格を押し上げる要因となっています。
Freeport-McMoRan(フリーポート・マクモラン)
銅価格と強い相関関係があり、銅業界のファンダメンタルズが依然として強いことから、前向きな見通しが示されています。アナリストからも強気な評価が多く寄せられており、中期的には投資家にとって魅力的な選択肢となる可能性があります。
Airbnb(エアビーアンドビー)
2024年8月に株価が一時14%以上急落しました。これは米国市場での旅行需要の鈍化が影響しています。一方で、日本やパリ2024夏季オリンピックなどのイベントが旅行需要を押し上げており、特に日本への旅行需要が高まっています。
Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)
2024年第2四半期の収益が前年同期比16%増加し、純利益も158%増加しました。移動需要の回復や新たな市場への進出によって業績を改善しており、特に都市部での移動制限緩和が利用者数の増加につながっています。
内需株vs輸出株:東証プライム市場が映し出す日本経済の二極化
日本市場の個別株の動向です。
値上がり銘柄:
- リクルートホールディングスやフジクラなどの内需株が上昇しました。これらの銘柄は、国内市場での需要が堅調であることや、円高による輸出関連株の不振を背景に、相対的に投資家からの注目を集めました。
- 東証プライム市場では、値上がり銘柄数が1,299と全体の約80%を占め、内需株への資金流入が顕著でした。
値下がり銘柄:
- ファーストリテイリング(ユニクロ)、シャープ、東京海上ホールディングスなどが下落しました。これらの企業は、円高による輸出コストの増加や、米国市場でのハイテク株安の影響を受けた可能性があります。
半導体関連株:
- NVIDIA(エヌビディア)の株価下落の影響を受けて、東京市場でも東京エレクトロンやアドバンテストに売りが波及しました。これは、米国市場での半導体関連株の下落が東京市場にも影響し、投資家心理を冷やしたためと考えられます。