割安&業績好調株 クラウドインテグレーター銘柄
今回の記事では、株価が割安と考えられる銘柄で、23年7-9月期に四半期ベースの過去最高益を更新し、今期も最高益を見込む業績好調株をご紹介します。
今回ご紹介する銘柄は、日本ビジネスシステムズです。
日本ビジネスシステムズ株式会社は、アメリカのマイクロソフト製品を主力とする独立系のクラウドインテグレーターの大手です。
クラウドインテグレーターとは、クラウド環境の構築、導入、保守・運用をトータルでサポートする企業です。
クラウドインテグレーターはクラウドサービスに精通しており、企業のニーズに合わせた最適なクラウド化を実現するためのサポートを提供します。
日本ビジネスシステムズの最新の決算については、2023年7月から9月の期間(第4四半期)で、クラウドインテグレーション事業においてMicrosoft Azureなどのクラウド活用の案件が増加しました。
また、ライセンス&プロダクツ事業では大型の新規ライセンス契約を獲得し、3四半期ぶりに経常利益が過去最高益を達成しています。
同時に発表された2024年9月期の経常利益の見通しは、前期比で17.3%増の51億円、3期連続の最高益更新を見込んでいます。
予想PERの推移については、こちらの表のとおりです。

上場してから現在に至るまでの期間が短いため、十分なデータがありませんが、現在の予想PERが過去の平均値を下回っていることや、業績が好調であることに鑑み、割安と判断しました。
今回は、そんな日本ビジネスシステムズの最新の財務諸表を解説します。
この記事を読めば、日本ビジネスシステムズの株を買うにあたって、最低限知っておくべき日本ビジネスシステムズの業績や財務状況を把握することができます。
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年間配当と配当利回りの推移

日本ビジネスシステムズの年間配当は2022年に20円で配当利回りが1.80%でしたが、2023年も配当は20円のままで配当利回りが2.49%に上昇しました。
2024年の予想では配当が25円に増加しています。このデータから、配当額は増加傾向にあり、配当利回りも上昇していることがわかります。
なお、1月17日時点の配当利回りは、1.69%となっています。
経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。
経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。
経常利益の推移

日本ビジネスシステムズの経常利益成長率を前年同期比で見ると、2023年第3四半期は前年同期に比べて17.3%減少しましたが、第4四半期には69.2%と大幅に増加しました。
経常利益率とは?
経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。
経常利益率

日本ビジネスシステムズの経常利益率を前年同期比で見ると、2023年第3四半期は前年の3.11%から1.78%へと低下しましたが、第4四半期は前年の3.84%から5.07%へと上昇しています。
このデータは、期間によって経常利益率が大きく変わっていることを示しています。
「利益」は意見、「キャッシュ」は現実
損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。
他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。
そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。
また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。
そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフローマージンとは?
営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。
営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。
この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。
営業キャッシュフローマージン

日本ビジネスシステムズの営業キャッシュフローマージンは、2020年に4.71%だったものが2021年に2.62%へと減少し、2022年には4.02%へ回復しました。
しかし、2023年には-0.18%とマイナスに転じています。
このマイナスの営業キャッシュフローマージンは、2023年において企業が営業活動からの現金収入が売上を下回っていることを意味し、現金を稼ぐ能力に問題があることを示しています。
なお、2019年のデータはありません。
アクルアールとは?
アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。
具体的には、アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。
アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー
純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。
他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。
逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。
アクルアール

日本ビジネスシステムズのアクルアールは、2020年から2022年までマイナスを記録し、現金収入が会計上の利益を上回っていたことを示しています。
しかし、2023年には35.87億円のプラスに転じ、これは現金収入が会計上の利益を下回り、質の低い利益を生み出している状況を示しています。
なお、2019年のデータはありません。
自己株式調整済み負債比率とは?
自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える純資産(自己株式を除く)に対して、負債がどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。
自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)
純資産は自社株買いによって比較的容易に増やすことが可能であるため、その影響を排除するために純資産から自己株式を除いています。
この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。
「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。
自己株式調整済み負債比率

日本ビジネスシステムズの自己株式調整済み負債比率は、2022年第4四半期に0.99でしたが、2023年第3四半期に1.72へ上昇し、第4四半期には1.25に落ち着きました。
この比率は、ウォーレン・バフェットが望ましいとする0.80を上回っており、純資産に対する負債が比較的高いことを示しています。
これは、企業の財務状態に一定のリスクがあることを示唆している可能性があります。
固定長期適合率とは?
固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。
固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)
一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。
固定長期適合率

日本ビジネスシステムズの固定長期適合率は、2022年第4四半期の66.90%から始まり、2023年を通じて徐々に増加し、第4四半期には73.32%に達しました。
この比率が100%以下であることは、企業の固定資産が安定した資金で賄われており、財務状況が安定していることを示しています。
総合評価
日本ビジネスシステムズの成長性については、2024年9月期の経常利益を前期比で17.3%増の51億円、3期連続の最高益更新を見込んでいることや、今後もMicrosoft Azureなどのクラウド活用の需要が期待されることから、5点中4点とします。
効率性については、2023年第3四半期の経常利益率が前年同期の利益率を大きく下回ったものの、2023年第4四半期の利益率が前年同期の利益率を上回ったことから、5点中2点とします。
現金の生成能力については、直近の営業キャシュフローマージンがマイナスであることや、直近のアクルアールがプラスとなっていることから、5点中1.5点とします。
財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が1.25であることや、直近の固定長期適合率が73.32%であることから、5点中3点としています。
割安性については、予想PERの推移がこちらの表のとおりであり、5点中3点とします。

従って、2024年1月18日時点の総合評価としては、25点中13.5点、SからDの五段階のうち、Bランクとしました。

日本ビジネスシステムズは、成長性が高く4点としていますが、効率性と現金の生成能力はそれぞれ2点と1.5点と低めです。
財務の安定性と割安性は共に中間的な3点をつけています。
なお、この評価は、簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。
また、配当利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。