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日本車復権へ トヨタ自動車 最新の決算&財務諸表を解説

日本車復権へ トヨタ自動車

今回は人気の日本株で、2024年2月6日に最新の決算を発表したトヨタ自動車の最新の決算と財務諸表を解説します。

トヨタ自動車は1937年に創業した日本の世界的な自動車メーカーで、世界新車販売台数については、2020年から2023年の4年連続で世界トップとなっています。

自動車の高品質と耐久性に定評があり、乗用車から商用車、ハイブリッド車、電気自動車まで幅広く手掛けています。

トヨタ生産方式で知られる効率的な製造プロセスと、ハイブリッド車のプリウスなど環境技術の先駆けとしても名高いです。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

この記事を読めば、トヨタ自動車の株を買うにあたって、最低限知っておくべきトヨタ自動車の業績や財務状況を把握することができます。

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株価のチャート

過去5年間の株価のチャートは、こちらのとおりです。

株価は右肩上がりであり、高値圏にあることが確認できます

予想PERの推移

PERは、Price Earnings Ratioの略称で、時価総額を純利益で割るか、株価を一株当たりの利益で割ることで求めることができます。

これは、株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する指標として用いられます。

この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。

トヨタ自動車の予想PERは2024年2月28日時点で10.7倍で、過去1年間の平均は11.2倍、2年間で11.6倍、3年間で11.7倍、全期間の平均は12.1倍です。

これに対し、輸送用機器セクターのプライム市場の加重平均PERは17.4倍で、トヨタ自動車のPERはセクター平均よりも低いことがわかります。

実績PBRの推移

PBRとはPrice Book-value Ratioの略で、株価を1株当たりの純資産で割ったものです。

これは、現在の株価が企業の資産価値に対して割高か割安かを判断する指標として用いられます。

この倍率が高いほど、株価は割高と判断されます。

トヨタ自動車のPBRは、2024年2月28日現在で1.48倍です。

過去1年間の平均は1.1倍、過去2年間で1.07倍、3年間で1.1倍、全期間の平均は1.06倍になります。

これを輸送用機器セクターのプライム市場の加重平均PBR1.1倍と比較すると、トヨタ自動車のPBRは現在、セクター平均を上回る水準にあります。

年間配当と配当利回りの推移

トヨタ自動車の年間配当は2020年から2023年にかけて毎年増加しており、配当利回りは変動していますが、最終的に2023年には上昇しています。

また、トヨタの2024年3月期の中間配当30円は、既に実施済みであり、期末配当は、現時点で未定となっています。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。

総還元性向

トヨタ自動車の総還元性向は2019年の63.0%から2021年にかけて29.8%まで減少し、その後2023年までに再び増加しています。

最新の決算

トヨタ自動車は、2024年2月6日に2024年第3四半期決算を発表しています。

24年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結最終利益は前年同期比2.1倍の3兆9472億円に急拡大しました。

併せて、1ドル143円を前提として、通期の同利益を従来予想の3兆9500億円から4兆5000億円(前期は2兆4513億円)に13.9%上方修正し、増益率が61.1%増から83.6%増に拡大し、従来の2期ぶりの過去最高益予想をさらに上乗せしました。

直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結最終利益は前年同期比86.5%増の1兆3578億円に拡大し、売上営業利益率は前年同期の9.8%から14.0%に大幅改善しました。

豊田自動織機の不正に伴い、トヨタ自動車の国内工場が稼働停止するなど不正問題の影響で、業績見通しの下方修正などが懸念されていましたが、今回の決算では、逆に業績見通しの上方修正を行うなど、投資家にとってはポジティブなサプライズがあった決算でした。

地域別の自動車販売台数

2024年第3四半期累計のトヨタ自動車の地域別自動車販売台数については、日本が163万台、北米が216.1万台、欧州が88.4万台、アジアが137.6万台、その他地域が124.5万台です。

これにより、日本が全体の約22.3%、北米が約29.6%、欧州が約12.1%、アジアが約18.9%、その他の地域が約17.1%を占めています。

これはトヨタ自動車の販売が北米で最も強く、次いで日本とアジアでの販売が比較的高いことを示しています。

地域別の自動車販売台数の成長率

2024年第3四半期累計のトヨタ自動車の地域別自動車販売台数の成長率を見ると、欧州が16.8%の成長率で最も高く、その後に北米の16.7%、日本の16.3%と続きます。

アジアとその他の地域はそれぞれ6.4%と4.8%の成長率で、これらの地域では比較的低い成長を見せています。

これはトヨタが欧州、北米、日本での販売強化に成功していることが分かります。

トヨタ・レクサスの車種別販売台数

2024年第3四半期累計のトヨタ・レクサスの車種別販売台数では、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターを組み合わせたハイブリッド車(HEV)が全体の約93.2%を占めており、

ガソリンエンジンと電気モーターを搭載し、充電可能なバッテリーを持つプラグインハイブリッド車(PHEV)が3.6%、

バッテリーに蓄積された電気のみを使用して走行するバッテリー電気自動車(BEV)が3.1%、

水素を燃料として走行する燃料電池車(FCEV)が0.1%をそれぞれ占めています。

これは、トヨタ・レクサスがハイブリッド技術に強く依存していることを示しています。

他方、いわゆる電気自動車と呼ばれるBEVは、全体の3.1%に留まっていることが分かります。

トヨタ・レクサスの車種別販売台数の成長率

2024年第3四半期累計のトヨタ・レクサスの車種別販売台数における前年同期比成長率を見ると、バッテリー電気自動車(BEV)が329.5%の大幅な成長を遂げて最も高い伸びを示しています。

次にプラグインハイブリッド車(PHEV)が56.5%で、ハイブリッド車(HEV)も37.9%の健全な成長を見せています。

燃料電池車(FCEV)も19%の成長率を記録しています。

これらの数値は、トヨタ・レクサスが電動化技術への移行を進めていることと、特にBEV市場での急速な拡大を示しています。

地域別の営業利益と営業利益率

2024年第3四半期累計のトヨタ自動車の地域別営業利益と営業利益率を見ると、日本が最大の営業利益と最高の営業利益率を記録し、国内市場での強固な収益性を示しています。

北米は営業利益率が最も低く、市場の競争とコストの影響を受けていることが分かります。

欧州とアジアでは健全な収益性が見られ、特にアジア市場の重要性が際立っています。

その他地域も安定した収益貢献をしており、トヨタのグローバルな事業展開の広がりを示しています。

なお、ここでの営業利益は、企業が現金を貸し借りする際に使う契約で発生する特別な現金の増減、専門的には金利スワップ取引などの評価損益の影響を除いています。

地域別の自動車販売台数の見通し

トヨタ自動車の2024年3月期通期の地域別の自動車販売台数の見通しでは、北米が276万台、前年同期比で14.67%の成長が予測されており、これが最も高い成長率です。

欧州も117万台、13.59%の成長が見込まれています。

一方で、アジアでは、176万台、わずか0.51%の成長にとどまる見通しで、これが最も低い成長率です。

日本は212万台で2.46%、その他の地域では、164万台、4.79%の成長が予測されています。

通期の自動車販売台数の推移

トヨタ自動車の通期の自動車販売台数は、2020年度に895.5万台でした。

2021年度には764.6万台と前年比で14.62%減少しました。

2022年度には7.64%増の823万台に回復し、2023年度にはさらに7.19%増の882.2万台に成長しました。

2024年度には、会社側のガイダンスによると、7.12%増の945万台の販売が見込まれています。

営業利益とは?

営業利益は、企業が本業で稼いだ利益です。

営業利益は売上高から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費を除くと求めることができます。

営業利益の推移

トヨタ自動車の営業利益は、2023年第4四半期に35.2%増の約6269億円、2024年第1四半期には93.7%増の約1兆1209億円、第2四半期には155.6%増の約1兆4384億円、第3四半期に75.7%増の約1兆6809億円と顕著な成長を示しています。

会社側ガイダンスによると、2024年度第4四半期の営業利益は約6598億円で、前年同期比5.2%の増加を見込んでいます。

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営業利益率とは?

営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業の本業の稼ぐ力が強いと判断できます。

営業利益率

2023年第4四半期から2024年第4四半期までの営業利益率については、全ての期間で前年同期の利益率を上回る見込みとなっています。

特に会社側ガイダンスによると、2024年第4四半期の利益率は、前年同期の6.47%から6.96%に上昇する見込みです。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

トヨタ自動車の営業キャッシュフローは2019年に約3兆7666億円でしたが、2020年には約2兆3985億円へと36.3%減少しました。

その後、2021年には約2兆7272億円まで回復し、13.7%の成長を示し、2022年にはさらに増加して約3兆7226億円(成長率36.5%)に達しました。

しかし、2023年には約2兆9551億円へと減少し、前年比で20.6%の減少を記録しています。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

営業キャッシュフローマージン

トヨタ自動車の営業キャッシュフローマージンは、2019年に最高の12.46%を記録した後、2020年には8.03%へと減少しました。

2021年にはわずかに改善し10.02%になり、2022年には11.86%へと回復しましたが、2023年には7.95%に低下しています。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

トヨタ自動車のアクルアールは、2019年に約-18,837億円と大きくマイナスでしたが、その後、アクルアールは減少傾向にあり、2023年には約-5,038億円にまで減少しています。

しかし、依然としてマイナスの値を示しており、企業が現金収入を伴った質の高い利益を生み出していることを反映しています。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える負債が、純資産に対して何倍あるのかを示しています。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

トヨタ自動車の自己株式調整済み負債比率は、2023年第3四半期から2024年第3四半期にかけて1.34から1.35へと若干の変動が見られますが、全体としては1.3台で安定しています。

ウォーレン・バフェットの指摘する理想的な基準である0.80を上回っているため、財務健全性の観点からは改善の余地があると考えられます。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

トヨタ自動車の固定長期適合率は、2023年第3四半期から2024年第3四半期にかけて95.79%から91.63%へとわずかに改善しており、この期間中ずっと100%以下を維持しています。

これは、トヨタ自動車の固定資産が純資産と固定負債によって安定的に賄われており、財務状況が安定していることを示しています。

総合評価

トヨタ自動車の成長性については、通期の純利益を4兆5000億円、前年比83.6%増を見込んでいることから、5点中5点とします。

効率性については、2023年第4四半期から2024年第4四半期までの営業利益率については、全ての期間で前年同期の利益率を上回る見込みであることから、5点中5点とします。

現金の生成能力については、直近の営業キャッシュフローマージンが過去5期間で最も低いマージンであることや、

過去5期間のうち、全ての期間のアクルアールがマイナスとなっていることから、5点中3点とします。

財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が1.35であることや、

直近の固定長期適合率が91.63%であることから、5点中3点としています。

割安性については、直近の予想PERが、全ての期間の平均値と業界平均を下回っていること、

直近のPBRは、全ての期間の平均値と業界平均を上回っていることや

通期の純利益を4兆5000億円、前年比83.6%増を見込んでいることから、5点中3.5点とします。

従って、2024年2月29日時点の総合評価としては、25点中19.5点、Aランクとしました。

トヨタ自動車の評価では、成長性と効率性に最高の5点を与えています。

これは、同社が業界での成長と運営の効率性において優れたパフォーマンスを示していることを反映しています。

一方で、現金の生成能力、財務の安定性、割安性に関してはそれぞれ3点と3.5点と評価しており、これらの分野では改善の余地があることを示唆しています。

特に現金の生成能力と財務の安定性は、企業の持続可能性と将来の成長機会を支える重要な要素であるため、これらの分野での強化が今後の課題となるでしょう。

なお、この評価は、あくまでも簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。

また、配当利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。

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