人気高配当株、三菱UFJ
今回は、人気の高配当株で、2024年2月5日に最新の決算を発表した三菱UFJの最新の決算と財務諸表を分析します。
三菱UFJは、日本最大の金融グループの一つで、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などの主要な子会社を持ち、投資銀行、資産管理、信用カードなど多様なサービスを提供しています。
基本情報は、こちらの表のとおりです。
この記事を読めば、三菱UFJの株を買うにあたって、最低限知っておくべき三菱UFJの業績や財務状況を把握することができます。
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株価のパフォーマンス
三菱UFJの株価のパフォーマンスは、こちらの表のとおりです。
三菱UFJの株価パフォーマンスは、1か月で11.12%、6か月で23.47%、年初来で14.24%、1年で49.18%、5年で145.10%、そして全期間で118.77%という成長を示しています。これらの数字から、短期から長期にわたって株価が着実に上昇していることが伺えます。特に長期的な視点で見ると、三菱UFJの株価は顕著な成長を遂げています。
過去5年間の株価のチャートは、こちらのとおりです。
株価は右肩上がりであり、過去5年間の高値を更新していることが分かります。
実績PBRの推移
三菱UFJのPBRは、2024年2月6日時点で0.88倍です。過去1年間の平均は0.75倍、2年間で0.65倍、3年間で0.59倍と、時間が経つにつれて徐々に上昇しています。
全期間の平均値は0.51倍で、プライム市場における銀行業の加重PBRは0.7倍です。
加重PBRは、PBRの一種で、通常のPBRは、単純に株価を1株当たり純資産で割って算出しますが、加重PBRでは、各株式の市場価値(株価と発行済み株式数の積)に応じて加重平均を取ります。
大企業や高い市場価値を持つ企業が指数や平均に与える影響をPBRに反映させることで、より正確にPBRの動向を把握することができます。
これらのデータから、三菱UFJの株価が純資産に対して過去に比べて高く評価されてきており、業界平均を上回っていることを示しています。
年間配当と配当利回りの推移
三菱UFJの配当利回りは2020年の6.20%から2024年の2.93%へと減少していますが、同期間中の年間配当は25円から41円へと増加しています。
この傾向は、株価の上昇や会社の収益性の向上を示唆しています。
総還元性向とは?
総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。
総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。
ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。
総還元性向
三菱UFJの総還元性向は2019年の51.3%から始まり、2020年には70.5%へと大幅に上昇しました。
しかし、2021年には41.3%へと低下し、その後2022年にはわずかに改善して45.7%になりました。
そして2023年には75.6%へと跳ね上がり、この期間中で最高値を記録しています。
高い総還元性向は株主への積極的な還元を意味しますが、同時に企業が再投資や成長のための資金を少なくしている可能性もあります。
なお、三菱UFJの配当方針としては、資本の健全性や成長のための投資との最適バランスを検討した上で、 配当を基本として株主還元の充実に努めることとしています。
最新の決算
三菱UFJフィナンシャル・グループ は、2024年2月5日に2024年第3四半期決算を発表しています。
24年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結経常利益は前年同期比2.1倍の1兆8018億円に急拡大しました。
直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結経常利益は前年同期比2.0倍の5219億円に急拡大しました。
また、24年3月期通期の純利益1.3兆円、前年同期比16%増の見通しは据え置きました。
事業本部別の業績
三菱UFJは、モルガンスタンレー、デジタルサービス事業本部、法人・リテール事業本部、コーポレートバンキング事業本部など8つの事業部門を持っています。
2024年第3四半期累計の事業本部別の純利益はこちらの表のとおりです。
三菱UFJの事業本部別当期純利益では、モルガンスタンレー事業本部が2,834億円、純利益全体の約25%で最も高く、次いでコーポレートバンキング事業本部が2,805億円、純利益全体の約25%となっています。
これらの数値から、モルガンスタンレー事業本部とコーポレートバンキング事業本部が全体の約半分の利益を生み出していることが分かります。
他の主要事業本部も安定した利益を上げており、市場事業本部は1,553億円、グローバルCIB事業本部は1,355億円の利益を記録しています。
こちらが2024年第3四半期累計の事業本部別の純利益と前年同期比での成長率です。
三菱UFJの事業本部別当期純利益の前年同期比成長率を見ると、グローバルコマーシャルバンキング事業本部が57.91%の成長で最も高く、デジタルサービス事業本部も33.79%と高い成長を達成しています。
一方で、市場事業本部は-34.61%と大きく落ち込んでおり、他の主要事業本部は比較的安定した成長を見せています。
貸出金の推移
貸出金とは、金融機関が個人や他の機関に貸し出した金銭の総額です。
三菱UFJの貸出金推移を見ると、2021年9月の104.7兆円から2023年12月の115.2兆円へと全体の貸出金が増加しています。
この増加は主に海外貸出が牽引しており、38.4兆円から45.2兆円へと大きく伸びています。
国内法人向け貸出も着実に増加していますが、住宅ローンは若干減少しています。
全体として、三菱UFJの貸出金は拡大していることが見て取れます。
不良債権比率とは
不良債権比率は、銀行や金融機関が管理する債権の中で、回収が困難または不可能と見られる債権(不良債権)の割合を示す指標です。
不良債権比率が高い場合、債権の中で回収が困難な債権が多く、金融機関が高い信用リスクに直面していることを意味します。
また、不良債権の残高は、金融機関の損失リスクを直接的に反映しており、経営の安定性に影響を与える重要な要素です。
三菱UFJの不良債権比率は2021年3月の1.14%から2023年12月には1.23%へとわずかに上昇しています。同時期に不良債権残高も13,639億円から15,970億円へと増加しています。
この傾向は、総貸出金に対する不良債権の割合が徐々に高まっていることを示しており、リスク管理の観点から注意が必要ですが、比率の上昇は比較的小さいため、全体的な信用リスクは管理可能な範囲内と考えられます。
なお、三菱UFJの同業である三井住友FGの不良債権比率は、2021年3月の0.98%から2022年3月に1.08%に上昇した後、2023年には減少し、同年3月に0.80%、12月に0.81%となっています。
不良債権残高も同様に2022年に増加した後、2023年に減少しています。これは、三井住友FGが不良債権の管理において一定の成果を上げており、特に2023年にはその改善が顕著であることを示しています。
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経常利益とは?
経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。
経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。
経常利益の推移
三菱UFJの経常利益成長率に関して、2022年第4四半期から2023年第3四半期にかけては前年同期比で減少が見られ、-32.4%から-36.7%の範囲で推移しました。
しかし、2023年第4四半期からは成長に転じ、2024年第3四半期までの期間では19.3%から175.9%の大幅な成長が記録されており、同社の業績が顕著に回復している様子が見て取れます。
経常利益率とは?
経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。
経常利益率
三菱UFJの経常利益率は、2022年第4四半期の8.41%から2023年第4四半期には6.91%へと減少しました。
しかし、2023年第1四半期の12.15%は2024年第1四半期に26.16%へ、2023年第2四半期の15.26%は2024年第2四半期に19.17%へ、そして2023年第3四半期の10.40%は2024年第3四半期に18.37%へと
それぞれ大幅に上昇しました。
これは、特に2024年において前年同期に比べて経常利益率が顕著に改善していることを示しています。
個人的な所感
三菱UFJを分析してみると、全体としては業績が順調に回復している印象を受けます。
特に2024年に入り、経常利益や経常利益率が大きく改善しているのが目を引きます。これは同社の成長力が高まっていることを示しています。
一方で、不良債権比率が微増したのは少し気になる点です。ただし増加幅は小さく、財務的なリスクはコントロール可能な範囲内と考えられるので、大きな問題にはならないと考えています。
配当性向や総還元性向からは、株主還元に力を入れている姿勢がうかがえます。
個人的には、三菱UFJは安定性と成長性を兼ね備えた銘柄だと評価しています。