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次世代エンターテインメント企業、エニーカラー 最新の決算&財務諸表を分析 2024年1月

次世代エンターテインメント企業、エニーカラー

今回は、次世代のエンターテインメント企業として注目されているエニーカラーの最新の決算と財務諸表を分析します。

エニーカラー(ANYCOLOR株式会社)は、エンターテイメント分野において革新的な事業を行っている日本の企業です。

特にバーチャルYouTuber(VTuber)のプロデュースに注力し、多様なキャラクターを通じてデジタルコンテンツを提供しています。

同社は、VTuberの可能性を最大限に活かし、新しい形のエンターテイメントを創造している次世代型のエンターテインメント企業です。

この記事を読めば、エニーカラーの株を買うにあたって、最低限知っておくべきエニーカラーの業績や財務状況を把握することができます。

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最新の決算

エニーカラーは、2023年12月14日に2024年第2四半期決算を発表しています。

24年4月期第2四半期累計(5-10月)の経常利益(非連結)は前年同期比50.1%増の64.7億円に拡大し、通期計画の127億円に対する進捗率は50.9%に達しました。

これは、前年同期の進捗率45.6%を上回りました。

直近3ヵ月の実績である8-10月期(2Q)の経常利益は前年同期比11.2%増の24.4億円に伸び、売上営業利益率は前年同期の36.2%から37.3%に上昇しました。

同社では、「NIJISANJI EN(にじさんじ イングリッシュ)」の売上が14.7%減の26億2600万円と苦しい状況が続いたものの、「にじさんじ」が、第2四半期累計で前年同期比 47.0%増と高い成長を継続しています。

「にじさんじ」は、同社が運営するバーチャルYouTuber(VTuber)プロジェクトです。

「にじさんじ」のVTuberたちは、それぞれ独自のキャラクター設定と個性を持ち、YouTubeやTwitchなどのプラットフォームで活動しています。

VTuberたちは、歌ったり、ゲームをプレイしたり、視聴者との交流を行うなど、多彩な活動を展開しています。

「NIJISANJI EN(にじさんじ イングリッシュ)」は、「にじさんじ」の英語圏向け部門です。

英語を主な言語として活動するVTuberが所属し、世界中のファンに向けたコンテンツを制作しています。

同社は、継続的な新規デビューと既存VTuberプロデュースの体制拡充を通じて、海外ファン層の拡大に取り組みたい、としています。

2024年4月期の業績については、営業利益127億円(前年同期比34.9%増)、経常利益127億円(前年同期比34.4%増)、最終利益90億円(前年同期比34.3%増)を見込んでいます。

損益計算書(PL)の特徴

こちらが最新のエニーカラーの損益計算書(PL)です。

エニーカラーの損益計算書は、売上高から商品の原価を除いた売上総利益が売上高のほぼ半分を占めており、これは効率的なコスト管理と高いマージンを意味しています。

売上総利益から販売のためのコストである販管費を除いた営業利益が非常に高いことも注目すべき点で、これは効率的な運営とコストコントロールの結果と見ることができます。

一方で、営業外費用が同社の利益に一定の影響を与えていますが、全体の財務状態に大きな悪影響を及ぼしているわけではありません。

エニーカラーの損益計算書は、同社が収益性の高いビジネスを展開していることを示しています。

キャッシュフロー計算書(CS)の特徴

こちらが最新のエニーカラーのキャッシュフロー計算書(CS)です。

まず、営業活動によるキャッシュフローがプラスであり、これは企業の主要なビジネス活動が健全であることを示しています。

また売上債権が減少しており、顧客からの現金回収が増加していることがわかります。

売上債権とは、企業が商品やサービスを提供した後に、まだお金を受け取っていない金額です。

この数字が減少することは、顧客が請求された金額を支払い、企業がそれを現金収入として計上したことを意味し、債権の回収を効率的に行っている証拠となります。

営業活動以外の領域を見ると、投資活動によるキャッシュフローがマイナスとなっています。これは新しい資産の購入が行われていることを示しており、会社が成長のための投資に資金を投じていることが考えられます。

また、財務活動によるキャッシュフローがプラスであることは、株式の発行による資金調達が行われたことを示唆しています。

株式の発行による資金調達とは、企業が新たに株式を市場に発行し、投資家から資本を調達することによって得られる現金のことを指します。

貸借対照表(BS)の特徴

こちらが最新のエニーカラーの貸借対照表(BS)の一部で、エニーカラーの資産の内訳が記載されています。

エニーカラーは、資産の96%が現金といった流動資産であり、固定資産はわずか4%しかありません。

これは、エニーカラーのビジネスモデルが、機械設備といった固定資産を必要としないビジネスモデルであることを反映しています。

経常利益とは?

経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。

経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。

経常利益の推移

上場してからの期間が短いため、十分なデータがありませんが、エニーカラーの2024年第1四半期の経常利益成長率は前年同期比で90.7%と大幅に増加しました。

しかし、第2四半期は成長率が11.2%にとどまり、前年同期に比べて控えめな成長を示しています。

経常利益率とは?

経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。

経常利益率

エニーカラーの2024年第1四半期の経常利益率は前年同期の35.61%から大幅に上昇し、45.00%となりました。

一方で、2024年第2四半期は前年同期の36.38%に比べてわずかに利益率が上昇し、37.37%となりました。

これは、特に第1四半期の利益率が顕著に上昇したことを示しています。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフローマージンとは?

営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。

営業キャッシュフローマージン

エニーカラーの営業キャッシュフローマージンは、2020年の-5.89%から2023年には26.53%へと大幅に改善しました。

この変化は、売上からの現金収入が効率的に増加していることを示しています。

アクルアールとは?

アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。

アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。

アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー

純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。

他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。

逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。

アクルアール

エニーカラーのアクルアールを見ると、2020年は2.37億円のプラス、2021年は-2.23億円のマイナス、2022年は2.25億円のプラス、そして2023年は-0.24億円のマイナスとなっています。

これは、年によって、会計上の利益を営業活動の現金収入が上回ったり下回ったりしていることを示しています。

自己株式調整済み負債比率とは?

自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える純資産(自己株式を除く)に対して、負債がどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。

自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)

純資産は自社株買いによって比較的容易に増やすことが可能であるため、その影響を排除するために純資産から自己株式を除いています。

この比率が低ければ、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。

「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。

自己株式調整済み負債比率

エニーカラーの自己株式調整済み負債比率は、2023年第2四半期に0.42で始まり、その後も低い水準を保ち、2024年第1四半期には0.22に低下し、第2四半期には0.23となりました。

この比率がウォーレン・バフェットが望ましいとする0.80を大幅に下回っていることは、エニーカラーの財務が健全で、純資産に対して負債が低いことを示しています。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。

固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)

一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。

固定長期適合率

エニーカラーの固定長期適合率は、2023年第2四半期の9.23%から2024年第2四半期に4.84%へと低下しています。

この比率が100%以下であることは、固定資産が安定資金で十分に賄われており、財務が安定していることを示しています。

総合評価

エニーカラーの成長性については、2024年4月期の通期の経常利益を127億円、前年同期比34.4%増を見込んでいることから、5点中4点とします。

効率性については、直近2四半期で、前年同期の経常利益率を上回ったことや、直近の経常利益率は37.37%と比較的高いことから、5点中4点とします。

現金の生成能力については、直近の営業キャシュフローマージンが過去4年間で最も高い値であることや、過去4年間で2回アクルアールがマイナスとなっていることから、5点中3.25点とします。

財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が0.47であることや、直近の固定長期適合率が39.58%であることから、5点中5点としています。

割安性については、予想PERの推移が、下記の表のとおりであり、過去1年間の平均値を下回っているものの、1月23日時点の予想PERが24.3倍と比較的高いことから、5点中2.5点とします。

従って、2024年1月23日時点の総合評価としては、25点中18.75点、Aランクとしました。

エニーカラーの総合評価では、成長性と事業の効率性が高い点が際立っています。

現金生成能力は良好ですが、安定性に課題があるため、最高評価はつけていません。

財務の安定性は非常に高く、企業の健全な財務状況を反映しています。

一方、割安性は平均的な評価をつけています。

全体的に、エニーカラーは成長性と財務安定性で高い評価をつけている企業です。

なお、この評価は、あくまでも簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。

また、配当利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。

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