衝突事故で約150億円の営業損失
2024年1月4日、日本航空(JAL)は、2日に起きた海上保安庁の航空機との衝突事故で、日航の航空機(便番号516)が完全に損失したため、約150億円の損害が生じると発表しました。
この損害は営業上の損失として記録される予定です。なお、24年3月期連結業績予想への影響は精査中としています。
4日の株式市場では、JALの株価は一時2.4%安となりましたが、その後株価は持ち直し、0.77%高で取引を終えました。
事故後のJALの対応は迅速な対応と受け止められており、株式市場では事故の影響は限定的との見方が広がっているようです。
今回は、そんなJALの最新の決算内容や財務諸表を解説します。
この記事を読めば、JALの株を買うにあたって、最低限知っておくべきJALの現在の業績や財務状況を把握することができます。
この記事が皆様の銘柄選定のお役に立てれば、光栄です。
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JALとは?
JAL、または日本航空株式会社は、日本のフラッグキャリアであり、国内および国際的に多くの目的地へのフライトを提供しています。
JALの特徴としては、そのサービスの質の高さが挙げられます。特に、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客に対するサービスは高く評価されており、機内食や座席の快適さが特に注目されています。
国際線においては、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアなど、世界各地へのフライトを運航しており、特にアメリカや中国への路線が充実しています。
JALは、環境への影響を低減するための取り組みも積極的に行っており、新型機材の導入や燃料効率の改善など、持続可能な航空運航を目指しています。
JALの成長ポテンシャルについては、まず、新型コロナの影響からの市場の回復が考えられます。航空業界はパンデミックにより大きな打撃を受けましたが、国際的な旅行制限の緩和と共に、旅行需要の復活が見込まれています。JALがこの需要の回復にどのように対応するかが、その成長の鍵となります。
次に、新興市場への拡大が重要です。アジア太平洋地域をはじめとする新興市場は、経済成長に伴い航空旅行の需要が増加しています。JALがこれらの市場でのプレゼンスを強化し、新しい路線を開設することは、将来的な成長に寄与する可能性があります。
最新の決算
JALは2023年10月10月31日に2024年第2四半期決算を発表しました。
24年3月期第2四半期累計(4月から9月)の連結最終損益は616億円の黒字(前年同期は21.5億円の赤字)に浮上して着地しました。
併せて、通期の同利益を従来予想の550億円から800億円(前期は344億円)に45.5%上方修正し、増益率が59.8%増の2.3倍に拡大する見通しとなりました。
また、業績好調に伴い、今期の年間配当を従来計画の40円から60円(前期は25円)に大幅の増額修正を行いました。
直近3ヵ月の実績である7月から9月期(2Q)の連結最終利益は前年同期比2.2倍の386億円に急拡大し、売上営業利益率は前年同期の7.5%から13.1%に急改善しました。
配当金の推移と配当利回り
配当利回りは、株式を買う金額(株価)に対して、1年間に何%のリターンが配当金として得られるかを示しています。
2020年、JALの年間配当は55円で配当利回りは2.76%でしたが、新型コロナウイルスのパンデミックにより、2021年と2022年には年間配当が0円、配当利回りも0%に低下しました。
この時期、航空業界全体が経済的な困難に直面し、JALも影響を受けました。
しかし、2023年には経済の回復と旅行需要の増加に伴い、年間配当が25円に上昇し、配当利回りも0.97%に回復しました。
これは、JALの業績と見通しの改善を示しています。
2024年の予想では、年間配当が50円になるとされ、これが実現すればJALの財政状況のさらなる改善を意味し、投資家にとって良いニュースとなります。
なお、2023年12月29日時点の配当利回りは、1.44%となっています。
総還元性向
総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。
総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。
ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があることに留意する必要があります。
2019年に32.1%で安定していたJALの総還元性向は、2020年に新型コロナの影響で122.5%に急増し、その後2021年と2022年はパンデミックのため0.0%に低下しました。
しかし、2023年には経済回復により31.7%に改善し、安定した還元が再開されました。
売上高の推移
JALの売上高は、2021年第4四半期に約1,247億円から始まり、その後順調に増加しています。
2022年を通じて成長を続け、2023年には第4四半期に約3,700億円の売上を記録しました。
2024年もこの傾向が続き、第2四半期に約4,395億円の売上高を達成し、安定した成長を示しています。
また、2022年第4四半期の47.8%から始まったJALの売上高成長率は、2023年には102.1%へ大幅に増加し、最高121.8%を記録しました。
しかし、2024年には成長率が減少し、第1四半期に41.9%、第2四半期に25.7%となり、安定化しています。
営業利益とは?
営業利益は、企業が本業で稼いだ利益です。
営業利益は売上高から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費を除くと求めることができます。
営業利益の推移
2021年第4四半期に約-1,009億円の損失だったJALの営業利益は、2022年を通じて徐々に改善し、2023年第2四半期から利益を記録し始めました。
2023年と2024年には、安定した利益を維持し、2024年第2四半期には約575億円の利益を達成しています。
JALの営業利益成長率は2022年第4四半期の39.3%から始まり、2023年には大幅に増加し、第2四半期に140.3%、第3四半期に219.5%、第4四半期に150.8%を記録しました。
2024年も高い成長率を維持し、第1四半期に201.9%、第2四半期に120.0%となりました。
営業利益率
営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、企業の本業の稼ぐ力が強いと判断できます。
JALの営業利益率は、2022年第3四半期の-15.32%から徐々に改善し、2023年第2四半期にはプラスの7.48%に転じました。
その後、2023年第3四半期では9.83%、第4四半期では8.41%と安定し、2024年第1四半期に8.09%を維持した後、2024年第2四半期にはさらに改善して13.09%に達しました。
この推移は、JALが徐々に経済的な回復を遂げ、安定した営業利益率を維持していることを示しています。