過去最高の売上高! NTT
NTTは、2023年11月7日に2024年第2四半期決算を発表し、その売上高は、第1四半期に引き続き過去最高を更新しました。
今回は、そんなNTTの最新の決算内容や財務諸表を解説します。
この記事を読めば、NTTの株を買うにあたって、最低限知っておくべきNTTの現在の業績や財務状況を把握することができます。
動画で内容を確認したい方はこちら
NTTとは?
NTT(日本電信電話株式会社)は日本の大手通信企業で、固定電話、携帯電話、インターネットサービス、データ通信などを提供しています。
元々は日本政府の公共企業で、1985年に民営化されました。
現在はグローバルに事業を展開し、ITソリューションやデータセンター運営も手がけています。
同社の強みは、広範な通信ネットワークと安定したインフラを持つ点です。
また、5G、IoT、クラウドサービスなどの技術革新に注力し、高品質なサービスと信頼性の高いセキュリティを提供する点も同社の強みとなっています。
最新の決算
NTTは、2023年11月7日に2024年第2四半期決算を発表しています。
24年3月期第2四半期累計(4月から9月)の連結最終利益は前年同期比3.7%減の6708億円に減り、通期計画の1兆2550億円に対する進捗率は5年平均の60.7%を下回る53.5%にとどまりました。
直近3ヵ月の実績である7月から9月期(2Q)の連結最終利益は前年同期比10.1%減の2950億円に減り、売上営業利益率は前年同期の15.3%から14.6%に低下しました。
年間配当と配当利回りの推移
NTTの年間配当は2020年から2023年にかけて増加し、1株あたり95円から120円になりました。
しかし、同期間の配当利回りは3.69%から3.03%へと減少しました。
また、NTTは2023年7月1日を効力発生日として、普通株式1株につき25株の割合をもって株式分割を行っています。
年間配当は1株あたり5円を予想しており、 株式分割を考慮しない場合の年間配当予想額は125円となるため、前期比5円の増配となります。
なお、1月9日時点の配当利回りは、2.80%となっています。
総還元性向
総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。
総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。
ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があることに留意する必要があります。
NTTの総還元性向は、2019年の71.1%から始まり、2020年には99.9%に急上昇した後、2021年には69.6%、2022年には56.4%に低下しました。
しかし、2023年には76.6%に上昇し、株主還元への再注力を示しています。
売上高の推移
NTTの四半期売上高は、2021年第4四半期の約3.21兆円から始まり、2023年第4四半期には約3.56兆円で10.2%の成長を達成しました。
しかし、2024年度に入ると成長率が減少し、2024年第1四半期では役3.11兆円で1.4%、2024年第2四半期では約3.25兆円で1.1%の成長にとどまりました。
これは、NTTの売上が2023年度に大きく成長した後、2024年度には成長の勢いがやや落ちたことを示しています。
経常利益とは?
経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。
経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。
経常利益の推移
NTTの四半期経常利益は、2021年第1四半期の1,574.78億円から2021年第4四半期に5,386.64億円に増加しました。
2022年第1四半期では2,415.67億円で53.4%増加し、2023年第1四半期には2,877.69億円で19.1%増加しましたが、2023年第3四半期には4,615.67億円で6.5%減少しました。
経常利益率
経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。
NTTの経常利益率は、2022年第3四半期の17.75%から始まり、2022年第4四半期に7.47%に減少しました。
2023年には一時的に回復し、2023年第1四半期で17.12%、第3四半期で15.53%を記録しましたが、2023年第4四半期には8.08%に下落しました。
2024年第1四半期では18.56%に増加し、第2四半期には14.19%になりました。
アクルアールとは?
アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。
具体的には、アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。
アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー
純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。
他方、営業キャッシュフローは、企業が営業活動で生み出した現金の額です。
例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。
逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。
アクルアール
NTTのアクルアールは2019年から2023年にわたりマイナスを記録しており、営業活動からの現金収入が会計上の利益を上回っていることを示しています。
2019年は約-1.55兆円、2020年は約-2.14兆円、2021年は約-2.09兆円、2022年は約-1.83兆円、2023年は約-1.05兆円のアクルアールで、これはNTTが質の高い利益を持続していることを表しています。
なお、基本的な財務諸表の読み方やアクルアールなどの財務指標については、「たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室」という本で、初心者向けに分かりやすく解説されていますので、より詳しい内容を知りたい方はそちらをご覧ください。