Netflix 2024年第3四半期決算分析(前編)
(暖かな午後の日差しが差し込む個別株観測所。窓際のダークブラウンの革張りソファに腰掛けたきらくは、磨き上げられたボーンチャイナのカップでコーヒーを楽しんでいる。その香り立つ空間に、銭太郎が勢いよく飛び込んでくる)
銭太郎: 「きらく所長!Netflixの決算が出たゼニ。市場予想と比べてどうなんゼニ?」(両手に持った資料を広げながら)
きらく: 「ふふ、まずそこから見ていきましょうか」(優雅にコーヒーを啜りながら)「第3四半期は、1株当たり利益(EPS)が市場予想の$5.13を上回る$5.40、売上高も予想の97.6億ドルを上回る98.3億ドルを達成したわ」
(そこに、黒縁メガネを光らせながら、スマートなパンツスーツ姿のあおいが書類を抱えて入室してくる)
銭太郎: 「(目を輝かせながら)これからはどうなるゼニ?」
きらく: 「(カップを受け皿に静かに置きながら)来期(第4四半期)のガイダンスも良好よ。EPSは市場予想$3.92に対して$4.23、売上高は予想100.2億ドルに対して101.28億ドルを見込んでいるわ。さらに、来年通年の売上高見通しも430億~440億ドルと、市場予想の434.4億ドルをカバーする範囲で提示しているの」
あおい: 「(メモを取りながら)まるでレシピ通りに作ったお菓子が、さらに美味しく仕上がったような感じですね」
きらく: 「(微笑みながら)具体的な数字を見ていくと、」(デスク上のタブレットをスワイプしながら)「財務面では、事業活動からのキャッシュフローは23.2億ドルに達し、2024年のフリーキャッシュフロー予想は60-65億ドルに上方修正されたの。この期間中に260万株、17億ドル相当の自社株買いも実施したわ。純有利子負債は68.3億ドルまで減少しているわね」
銭太郎: 「(ソファに深く腰掛けながら)人気作品の視聴状況はどうゼニ?」
きらく: 「(タブレットの画面を切り替えながら)『The Union』が1.119億回、『Rebel Ridge』が1.047億回、『Beverly Hills Cop: Axel F』が8,750万回と、大きな数字を記録しているわ。特筆すべきは、アカウント共有対策、つまり他人とパスワードを共有して利用する行為への規制後も、正規契約者(オーナー世帯)の視聴時間が前年比で増加している点ね」
あおい: 「(メガネを少し上げながら)将来に向けての準備も着々と進んでいるんですね。まるで新しいメニューの開発と既存メニューの改良を同時に進めているような感じです」
きらく: 「(コーヒーカップを再び手に取りながら)その通りよ。2025年の営業利益率は28%を目標にしているの。広告収入は現在こそ小規模だけど、今後倍増を見込んでいるわ。来月にはカナダで広告プラットフォームをローンチする予定よ」(タブレットをスワイプしながら)「それに、Basic プランもブラジルで今四半期中に廃止を予定しているの。これは料金プランをシンプルにして、より魅力的な標準プランや広告付きプランへの移行を促す戦略よ」
銭太郎: 「(椅子の前のめりになって)まだまだ伸びる余地はあるゼニ?」
きらく: 「(窓の外を見やりながら)ええ、主要市場でのTV視聴時間シェアはまだ10%未満なの。つまり、人々がテレビを見ている時間のうち、Netflixの視聴は1割にも満たないということ。これは言い換えれば、まだ90%以上の市場開拓の余地があるってことよ」(デスクに視線を戻しながら)「特に、投資適格債で調達した18億ドルは2025年満期の債券借り換えに使用予定で、財務基盤も着実に強化されているのよ」
Netflix 2024年第3四半期決算分析(後編)
(窓際から差し込む夕陽が部屋を柔らかなオレンジ色に染め始める。きらくはコーヒーポットから二杯目を注ぎ、立ち上る湯気を愉しむように見つめている)
あおい: 「(デスクの上の資料を整理しながら)コンテンツ面ではどうでしょうか?」
きらく: 「(目を輝かせながら立ち上がり、壁面のディスプレイを指し示して)50カ国以上でオリジナルコンテンツを制作しているのよ。特にアジア太平洋地域では日本、韓国、タイ、インドで強力なコンテンツラインナップを揃えているわ」(ディスプレイをスワイプしながら)「ニールセンのTop 10での視聴時間シェアは、すべての競合を合わせたより多いのよ」
銭太郎: 「(ソファの端に座り直しながら)去年のストライキの影響はどうなったゼニ?」
きらく: 「(コーヒーカップを片手に窓際へ歩みながら)確かに2023年のストライキの影響で一時的な遅れは出たけど、2025年までには完全に回復する見込みよ。第4四半期は『Black Doves』、『No Good Deed』、『Aaron Rodgers: Enigma』など、注目作品が目白押しなの」
あおい: 「(黒縁メガネをクイッと上げながら)広告ビジネスの詳細も気になります。顧客の反応はどうなんでしょうか?」
きらく: 「(タブレットの画面に目を落としながら)広告視聴者の視聴パターンは通常プランとほぼ同じなの。CPM、つまり広告を1000回表示した時の広告料金の指標も、プレミアムCTV広告市場、言い換えれば高品質な動画配信プラットフォームでの広告市場の上位に位置しているわ」(デスク前に戻りながら)「米国では$6.99という手頃な価格で、HD画質、2画面同時視聴といった充実した内容を提供しているの」
銭太郎: 「(メモを取りながら、眉をひそめて)値段の決め方はどうしてるゼニ?」
きらく: 「(優雅に椅子に腰掛けながら)競合との比較ではなく、提供価値に基づいて価格を設定しているのよ」(タブレットを手に取り)「より直感的なTV用ホームページのテストも実施中で、ユーザー体験の向上にも注力しているわ」
あおい: 「(デスクに近づきながら)クリエイターの方々との関係はどうなっているんですか?」
きらく: 「(コーヒーを優雅に啜りながら)興味深い質問ね。Netflixはクリエイター向けのビジネスモデルでも特徴的なのよ。基本的にはNetflix側が金銭的リスクを負う形で、クリエイターには先払いの報酬を提供しているの」(カップを静かに置きながら)「これにより、クリエイターは作品制作に専念できるわ」
銭太郎: 「(身を乗り出して)それって珍しいゼニ?」
きらく: 「(頷きながら)ええ。この報酬体系は他社とは異なるけれど、維持していく方針なの。クリエイターにとっても、Netflixにとってもメリットがあるからよ」
あおい: 「(窓際に立ち、夕陽を背に)サービス全体の規模はどのくらいなんですか?パティシエで言うと、どれくらいのお客様に届いているんでしょうか?」
きらく: 「(ディスプレイに映るグラフを指しながら)年間の総視聴時間は2000億時間を超えているわ。でも、主要市場における6000億ドル規模の消費支出、つまり人々がエンターテインメントやメディアに使っているお金の総額から見ると、現在のNetflixのシェアはまだ6-7%程度なの。言い換えれば、人々が娯楽に使う100ドルのうち、Netflixには6-7ドルしか使われていないということ。これは、まだまだ成長の余地があることを示しているのよ」
銭太郎: 「(スマートフォンを確認しながら)Nielsen's Gaugeっていう指標ではどうなってるゼニ?」
きらく: 「(椅子を回転させながら)Nielsen's Gauge、これはニールセン社、つまり世界最大の視聴率調査会社が発表している指標ね。テレビ番組の視聴者数調査で100年以上の歴史を持つ会社で、業界標準として認められているの」(タブレットの画面を示しながら)「彼らが発表しているTV視聴時間の測定指標では、従来のテレビ放送からストリーミングまで、視聴者がどのプラットフォームで時間を使っているかが分かるわ。この指標でも、視聴時間シェアは安定的に推移しているのよ」(真剣な表情で)「ただ、より重要なのは、サービスの継続的な改善への取り組みね。"constantly improve every aspect of our service"(サービスのあらゆる面を常に改善する)というのが、彼らの基本姿勢なの」
あおい: 「(デスクに戻りながら)広告ビジネスの今後の見通しは?調理でいうと、まだ実験段階なのでしょうか?」
きらく: 「(最後のコーヒーを飲み干しながら)現在は確かに小規模なベースからのスタートだけど、2025年には倍増を見込んでいるわ。営業利益率も28%という高い目標を掲げているの。これは、コンテンツの強さと運営の効率性への自信の表れね」
銭太郎: 「(立ち上がりながら)他社みたいにバンドルしないのはなぜゼニ?」
きらく: 「(窓際に立ち、夕暮れの空を見つめながら)それは、コンテンツの充実度に自信があるからよ。シリーズ、映画、ゲーム、そして今後はライブイベントも。すべてを1つのサービスで提供できる強みがあるの。他社のように複数サービスを束ねて(バンドル)、価格を下げる必要がないということね」
あおい: 「(かばんを手に取りながら)まさに、一流レストランが『うちはビュッフェとの併用はしません』と言っているようなものですね」
きらく: 「(振り返り、穏やかな笑みを浮かべながら)素敵な例えね、あおいちゃん。結局は、提供する価値への自信が全ての基盤になっているということね」
(夕暮れの光が部屋を染める中、個別株観測所の一日が終わりを迎えようとしていた)