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Q3決算発表、人気高配当株 NTT

人気高配当株 NTT

今回は人気の高配当株で、2024年2月8日に最新の決算を発表したNTTの最新の決算と財務諸表を解説します。

NTT(日本電信電話株式会社)は日本の大手通信企業です。

NTTは、日本国内での固定電話市場の大部分を占めており、また、モバイル通信に関しても、NTTドコモという子会社を通じて大きなシェアを持っています。

基本情報は、こちらの表のとおりです。

この記事を読めば、NTTの株を買うにあたって、最低限知っておくべきNTTの業績や財務状況を把握することができます。

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株価のチャート

過去5年間の株価のチャートは、こちらのとおりです。

株価は右肩上がりであり、高値圏にあることが確認できます。

予想PERの推移

2024年2月9日時点でのNTTの予想PERは12.2倍で、過去1年、2年、3年間の予想PER平均値はそれぞれ11.7倍、11.6倍、11.3倍となっています。全期間の予想PER平均値は11.2倍です。

これらの数値は、情報・通信業のプライム市場における2024年1月31日時点の加重平均PERの28.2倍と比較してかなり低いことがわかります。

これは、NTTの株価が予想される利益に対して比較的低く評価されていることを示しています。

実績PBRの推移

2024年2月9日時点で、NTTのPBRは1.65倍で、過去1年間の平均は1.63倍、2年間の平均は1.62倍、3年間の平均は1.55倍です。

全期間の平均は1.34倍となっており、これらの数値は情報・通信業のプライム市場における2024年1月31日時点の加重平均PBRの1.8倍よりやや低いことを示しています。

年間配当と配当利回りの推移

NTTの年間配当は2020年の3.8円から2024年に5円まで順調に増加していますが、その間の配当利回りは3.69%から2.77%へと減少しています。この傾向は、配当金額が増えているにも関わらず株価の上昇により利回りが下がっていることを示しています。

総還元性向とは?

総還元性向とは、会社が儲けた利益を、配当や自社株買いという形で、株主に対してどれくらい還元しているかを表す指標です。

総還元性向が高いほど、株主還元に力を入れている企業であることを示します。

ただし、株主への還元が多いことは、設備投資などに使用できる資金が少なくなる可能性があります。

総還元性向

NTTの総還元性向は、2019年に71.1%だったものが2020年には99.9%へと大幅に増加しました。しかし、2021年と2022年にはそれぞれ69.6%、56.4%へと減少し、2023年には再び76.6%に上昇しています。

この変動は、NTTが年によって株主還元の度合いを変えていることを示しており、特に2020年は株主還元に特に力を入れた年と言えます。

最新の決算

NTTは、2024年2月8日に2024年第3四半期決算を発表しています。

24年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結最終利益は前年同期比2.1%減の1兆111億円となり、通期計画の1兆2550億円、前年比3.5%増に対する進捗率は、5年平均の89.8%を下回る80.6%にとどまりました。

直近3ヵ月の実績である10-12月期(3Q)の連結最終利益は前年同期比1.3%増の3402億円となり、売上営業利益率は前年同期の16.0%から16.0%とほぼ横ばいでした。

NTT Ltd.の取締役副社長執行役員である中山和彦氏は、決算説明会で「海外事業の統合と構造改革によるコスト増にもかかわらず、業績は順調で、NTT Ltd.の連結効果と日本、欧州市場の成長、為替のプラス効果により売上が大幅に増加した」と説明しました。

また、「第3四半期は金融費用の増加で営業利益が減益となったものの、全期業績予想達成を目指す」とも述べています。

更に、「当期利益は、第3四半期までの進捗率が58.2%だが、国内売り上げの増加や不採算案件の削減などでの営業利益の増加、第4四半期(2024年1~3月)でのデータセンター売却益などにより当期利益目標を達成したい」と述べました。

なお、NTT Ltd.は、日本の電気通信大手であるNTTの国際事業部門です。

セグメント別の売上高

NTTは、総合ICT事業セグメント、地域通信事業セグメントなどの4つのセグメントを持っています。

2024年第3四半期累計のセグメント別の売上高はこちらの表のとおりです。

NTTのセグメント別売上高を見ると、総合ICT事業が45,188億円で最も高く、次いでグローバル・ソリューション事業が31,762億円、地域通信事業が23,062億円となっています。

これらのデータは、NTTの事業ポートフォリオの多様性と、特に総合ICT事業とグローバル・ソリューション事業の強さを示しています。

なお、総合ICT事業は、携帯電話事業、国内電気通信事業における県間通信サービスなどを主な事業内容としています。

第3四半期累計のセグメント別の売上高と前年同期比の成長率はこちらの表のとおりです。

NTTのセグメント別の売上高では、総合ICT事業が2.14%の成長を遂げ45,188億円、グローバル・ソリューション事業は5.60%増の31,762億円です。

しかし、地域通信事業は1.02%減の23,062億円、その他セグメントは7.24%減の11,231億円となっています。

全体では1.51%増の97,169億円です。グローバル・ソリューション事業が特に成長を牽引していますが、地域通信事業とその他セグメントでは減少が見られます。

セグメント別の営業利益

2024年第3四半期累計のセグメント別の営業利益はこちらの表のとおりです。

NTTのセグメント別の営業利益を見ると、総合ICT事業が最も高く、9,022億円を記録しています。次いで地域通信事業が3,396億円、グローバル・ソリューション事業が1,971億円です。

これらの数字は、NTTの事業ポートフォリオの中で総合ICT事業が特に収益性が高いことを示しています。

第3四半期累計のセグメント別の営業利益と前年同期比の成長率はこちらの表のとおりです。

NTTのセグメント別営業利益に関して、総合ICT事業が9,022億円で1.52%の成長を遂げています。

一方、地域通信事業は3,396億円で12.16%の減少、グローバル・ソリューション事業は1,971億円で3.79%の成長、その他のセグメントは554億円で20.63%の減少を見せています。

全体の営業利益は14,862億円で前年同期比2.28%の減少となっており、特に地域通信事業とその他セグメントでの減少が影響しています。

セグメント別の営業利益率

2024年第3四半期累計のセグメント別の営業利益率はこちらの表のとおりです。

NTTのセグメント別営業利益率を見ると、総合ICT事業が最も高い20.0%となっています。地域通信事業は14.7%、グローバル・ソリューション事業は6.2%、その他のセグメント(不動産・エネルギー等)は4.9%です。

全体の営業利益率は15.3%となっており、総合ICT事業が利益率の面で特に強いことが分かります。

固定ブロードバンドの契約数

固定ブロードバンドの契約数は、フレッツ光などの通信サービスに対する顧客の総契約数を指します。

固定ブロードバンドは、家庭やオフィスなどの固定された場所で高速インターネット接続を提供するサービスです。

契約数は、サービスの人気度、普及率、および企業の収益性に直接関連する重要な指標であり、通信会社のビジネスパフォーマンスを評価する際の基本的な要素の一つです。

NTTの固定ブロードバンドの契約数は、2022年第4四半期の2,326.6万から2024年第4四半期の会社側ガイダンスである2,392.5万まで徐々に増加しています。

この期間のコラボ光契約数は1,629.2万から1,728.9万に増加し、フレッツ光契約数は697.4万から663.6万にわずかに減少しました。

なお、コラボ光とは、フレッツ光回線とプロバイダーサービスをセットで契約できる光回線サービスです。

固定ブロードバンドの契約数の成長率は2023年第4四半期で1.3%、2024年第1四半期で0.9%、第2四半期で0.6%、第3四半期で0.4%となり、2024年第4四半期の会社側ガイダンスでは1.5%と予測されています。

これらの数値は、コラボ光の契約数の増加とフレッツ光の契約数のわずかな減少を示し、全体として固定ブロードバンドの契約数が着実に成長していることを示しています。

移動ブロードバンドの契約数

移動ブロードバンドの契約数は、モバイルネットワークを通じて提供されるブロードバンドインターネットサービスに対する顧客の総契約数を指します。

これには、スマートフォン、およびポータブルWi-Fiルーターなどを含むさまざまなデバイスでの契約が含まれます。

NTTの移動ブロードバンドの契約数は、2022年第4四半期の8,475.2万から2024年第4四半期の会社側ガイダンスである8,958.7万まで成長しています。

この期間中、5G契約は1,153万から2,854.6万に増加し、LTE契約は6,139.6万から5,409.5万に減少し、FOMA契約は1,182.6万から694.6万へと減少しました。

移動ブロードバンドの契約数全体の成長率は2023年第4四半期に3.2%、2024年第1四半期にも3.2%、第2四半期に3.1%、第3四半期に3.0%となり、2024年第4四半期の会社側ガイダンスでは2.4%と予測されています。

このデータは、5Gの契約が増加する一方で、LTEおよびFOMAの契約が徐々に減少していることを示しています。

営業利益とは?

営業利益は、企業が本業で稼いだ利益です。

営業利益は売上高から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費を除くと求めることができます。

営業利益の推移

NTTの営業利益は2022年第1四半期の約4,863億円から2024年第4四半期の約4,638億円へと推移しており、この期間の成長率には波があります。

2023年第1四半期に3.5%の増加を見せた後、2024年第2四半期には3.4%の減少が見られます。

2024年第4四半期の会社側ガイダンスでは、前年同期比で50.5%の大幅な増加が予測されています。

営業利益率とは?

営業利益率は、売上高に占める営業利益の割合を示したものです。

この割合が高いほど、企業の本業の稼ぐ力が強いと判断できます。

営業利益率

NTTの営業利益率を前年同期と比較すると、2023年第4四半期は2022年第4四半期の7.08%に比べて若干の上昇が見られますが、2024年第1四半期と第2四半期ではやや減少しています。

しかし、2024年第3四半期はほぼ前年同期の15.95%と変わらない水準を維持しており、第4四半期の予測では前年同期の8.65%に比べて顕著な上昇が見込まれています。

「利益」は意見、「キャッシュ」は現実

損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。

他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。

そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。

また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。

そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。

それでは、NTTの営業キャッシュフローを見て行きたいと思いますが、続きの内容については、動画付きの有料記事となります。

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続きの記事では、NTTを、成長性、効率性、現金の生成能力、財務の安定性、割安性の5つの観点から総合的に分析・評価しています。

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