QUOカード3万円が貰える、総合利回り11.98%銘柄爆誕
2024年1月19日、日本エコシステム株式会社は、株主優待制度を新設することを発表しました。
その内容は、2024年3月27日と同年9月26日の権利付最終日に200株以上の株を保有する株主を対象として、QUOカード15000円相当を年2回、計3万円相当のQUOカードを株主に贈呈するというものです。
これにより、2024年1月19日時点の日本エコシステムの配当利回りは、3.08%、優待利回りは、8.9%、 総合利回りは、11.98%となりました。
今回は、そんな日本エコシステムの最新の決算と財務諸表を解説します。
この記事を読めば、日本エコシステムの株を買うにあたって、最低限知っておくべき日本エコシステムの業績や財務状況を把握することができます。
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日本エコシステムとは?
日本エコシステムは、主に「公共サービス事業」「環境事業」「交通インフラ事業」を展開している社会インフラサービス企業です。
公共サービスでは、競輪などの公営競場事業や電気・空調衛生サービス、環境事業では再生可能エネルギーの開発・施工、交通インフラ事業では道路エンジニアリング・メンテナンスを手掛け、社会への長期的貢献を目指しています。
最新の決算
日本エコシステム は、2023年11月14日に2023年第4四半期決算を発表しています。
23年9月期の連結経常利益は前期比20%減の6億8500万円となりましたが、24年9月期は前期比22.5%増の8億3900万円に伸びる見通しとなりました。
公共サービス事業の営業利益については、公営競技場運営の包括受託業務が堅調に推移したことなどにより、5.62億円となり、前年同期比で2.3%成長率となりました。
他方、環境事業の営業利益については、アクアリウム受注案件が前期業績好調の反動を受け、0.64億円となり、前年同期比で11.3%のマイナス成長となりました。
交通インフラ事業の営業利益については、エンジニアリング分野(道路照明灯・LED 工事)の自治体需要が堅調に推移したことなどにより、7.47億円となり、前年同期比で7.9%の成長となりました
同時に、今期の年間配当は前期比1円増の52円に増配する方針としました。
直近3ヵ月の実績である7-9月期(4Q)の連結経常利益は前年同期比25.4%減の9400万円に減り、売上営業利益率は前年同期の7.2%から3.5%に大幅悪化しました。
年間配当と配当利回りの推移
日本エコシステムの年間配当と配当利回りについて見ると、2022年には年間配当が一株当たり50円で配当利回りが2.96%でした。2023年には年間配当が51円にわずかに増加し、配当利回りが2.85%になりました。
2024年1月19日の時点では、年間配当が52円が予想されており、配当利回りも3.08%に上昇しています。
これらの数値から、年間配当額は徐々に増加しており、配当利回りも上昇傾向にあることがわかります。
経常利益とは?
経常利益は、本業における利益だけでなく、企業の持つ株の運用利益など、事業を行って得た利益です。
経常利益は、売上高と営業外収益を足した値から、販売した商品の原価である売上原価と、販売のためのコストである販管費、営業外費用を除くと求めることができます。
経常利益の推移
日本エコシステムの経常利益成長率を前年同期比で見ると、2023年の各四半期では減少が見られます。
2023年第1四半期は前年比-10.9%、第2四半期は-4.8%、第3四半期は大きく下がって-45.8%、第4四半期も-25.4%となっています。
これは、経常利益が前年同期と比べて全体的に低下していることを示しています。
経常利益率とは?
経常利益率は、売上高に占める経常利益の割合を示したものです。
この割合が高いほど、本業以外の収益や費用を含めた会社全体の収益力が強いと判断できます。
経常利益率
日本エコシステムの経常利益率を前年同期比で見ると、2023年第1四半期と第2四半期では、前年の14.87%と13.61%からそれぞれ13.17%と12.77%へと若干の減少が見られます。
しかし、第3四半期と第4四半期にはより顕著な低下があり、11.30%から6.20%へ、7.46%から4.62%へと落ち込んでいます。
このデータは、経常利益率が特に後半の四半期で大きく減少していることを示しています。
「利益」は意見、「キャッシュ」は現実
損益計算書(PL)に記載される売上高などの「利益」は、本来であれば来期に立つ売上を、今期の売上として計上することや架空の売上を立てることで、意図的に「利益」を過大に見せること、いわゆる粉飾が可能であり、明らかな粉飾でない限り、このような粉飾を見抜くことは難しいと言われています。
他方、キャッシュフロー計算書(CF)に記載される営業キャッシュフローなどの「キャッシュ」は、実際にどれだけの現金が出入りしたのかを表し、意図的な調整をする余地がありません。
そのため、会計の世界では、『「利益」は意見、「キャッシュ」は現実』、または『キャッシュフローは嘘をつかない』とされています。
また、損益計算書では黒字にも関わらず、倒産してしまう「黒字倒産」の原因は、売上が発生しても、その入金、現金収入が大幅に遅れ、企業が現金不足に陥ることで起こるとされています。
そのため、企業の「利益」だけでなく、企業の「キャッシュ」を確認することが重要です。
営業キャッシュフローマージンとは?
営業キャッシュフローマージンは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合を示したものです。
営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。
この割合が高いほど、企業が売上から多くの現金収入を得ていることを意味し、現金を稼ぐ能力が高いと判断できます。
営業キャッシュフローマージン
日本エコシステムの営業キャッシュフローマージンは、2019年の4.08%から順調に上昇し、2021年には21.11%のピークに達しました。
しかし、その後、2023年に10.11%と減少傾向にあります。
このデータは、売上高に占める営業キャッシュフローの割合が高まった後、減少していることを示しています。
アクルアールとは?
アクルアールは、企業が現金収入を伴った質の高い利益をあげているかを判断する指標です。
具体的には、アクルアールは純利益から営業キャッシュフローを引いた値で計算されます。
アクルアール=純利益(特別損益を除く)ー営業キャッシュフロー
純利益は、全ての収入から全ての支出を除いた利益であり、いわゆる会計上の利益です。
他方、営業キャッシュフローは、企業の営業活動で得られた現金収入です。
例えばA社のように、アクルアールがマイナスの場合、企業が多くの現金を営業活動から生み出し、現金収入が会計上の利益を上回っていることを意味します。これはA社が現金収入を伴う質の高い利益を生み出していることを示します。
逆に、B社のようにアクルアールがプラスの場合は、現金収入が会計上の利益を下回り、現金収入を伴わない質の低い利益を生み出している状況を示しています。
アクルアール
日本エコシステムのアクルアールは、2019年に-0.15億円であり、2021年には-8.10億円へと拡大しました。
しかし、2022年には-2.74億円に減少し、2023年には-4.82億円とアクルアールのマイナス値が増加しました。
このマイナスの値は、企業が営業活動から会計上の利益を上回る現金収入を得ていることを示し、質の高い利益を生み出している状況を反映しています。
自己株式調整済み負債比率とは?
自己株式調整済み負債比率は、企業の抱える純資産(自己株式を除く)に対して、負債がどれだけの割合を占めているのかを表す指標です。
自己株式調整済み負債比率は、以下の式で求めることができます。
自己株式調整済み負債比率=負債÷(純資産ー自己株式)
純資産は自社株買いによって比較的容易に増やすことが可能であるため、その影響を排除するために純資産から自己株式を除いています。
この比率が低いほど、純資産に対して負債が少なく、財務が健全であると見なされます。
「史上最強の投資家 バフェットの財務諸表を読む力」によると、自己株式調整済み負債比率が0.80を下回ることが望ましいとアメリカの著名な投資家である、ウォーレン・バフェットは言います。
自己株式調整済み負債比率
日本エコシステムの自己株式調整済み負債比率は、2022年第4四半期に0.71で、ウォーレン・バフェットが望ましいとする0.80を下回っていました。
しかし、2023年に入るとこの比率は上昇し、第2四半期には0.97へと増加しました。その後、第4四半期には0.85となっています。
これは、純資産に対する負債の割合が一時的に高まり、財務健全性に関して一定の注意が必要な状況を示しています。
固定長期適合率とは?
固定長期適合率は、企業の固定資産が、純資産と固定負債といった安定した資金で賄えているかどうかを示す指標です。
固定長期適合率は、以下の式で求めることができます。
固定長期適合率=固定資産÷(純資産+固定負債)
一般的に、この比率が100%以下であると、企業の固定資産が安定した資金でまかなえており、会社の財務状況が安定していると判断できます。
固定長期適合率
日本エコシステムの固定長期適合率は、2022年第4四半期に76.52%でしたが、2023年には変動し、第4四半期には75.90%となりました。
この比率が100%以下であることは、企業の固定資産が安定した資金で賄われており、財務状況が安定していることを示しています。
総合評価
日本エコシステムの成長性については、24年9月期の連結経常利益は前期比22.5%増の8億3900万円を見込んでいることから、5点中4点とします。
効率性については、直近4四半期全てで、前年同期の経常利益率を下回ったため、5点中1点とします。
現金の生成能力については、直近の営業キャシュフローマージンが過去5年間で3番目に高い値であることや、過去5年間で全てアクルアールがマイナスとなっていることから、5点中3.5点とします。
財務の安定性については、直近の自己株式調整済み負債比率が0.85であることや、直近の固定長期適合率が75.9%であることから、5点中3.5点としています。
割安性については、予想PERの推移が、こちらの表のとおりであり、現在の予想PERが、全ての期間の平均値を上回っているものの、PERが10倍以下であることに鑑み、5点中3.5点とします。
従って、2024年1月19日時点の総合評価としては、25点中15.5点、SからDの五段階のうち、Aランクとしました。
日本エコシステムの評価は、成長性が高く4点をつけていますが、効率性は低めの1点としています。
現金の生成能力、財務の安定性、割安性はそれぞれ3.5点で、企業の財務状態が比較的安定しており、株価も適正な評価を受けていることを示しています。
なお、この評価は、あくまでも簡易的に評価したものであり、実際の投資判断にあたっては、より総合的な評価を行うことをお勧めします。
また、配当利回りや優待利回りなどの要素は考慮していないことにご留意ください。