35歳から54歳の働き盛りの世代にとって、資産形成は避けては通れない課題です。老後2000万円問題や年金制度への不安を抱える中、多くの方が「投資を始めたい」と考えながらも、具体的な方法が分からず踏み出せないでいるのではないでしょうか。
預貯金だけでは将来に向けた十分な資産形成は難しく、投資信託は手数料負担が気になります。一方で株式投資は、「どの株を選べばいいのか」「いつ売り買いすればいいのか」という具体的な判断基準が分からず、二の足を踏んでしまう方も多いはずです。
本記事で紹介するこびと株さんの投資哲学は、そんな悩みを抱える方々に、具体的な道筋を示すものです。配当利回りや財務指標という明確な投資基準、安定的な配当収入を重視する方針、そしてNISAを活用した税務戦略など、実践的な投資の指針を提供します。
投資は決して投機的な勝負事ではありません。優良企業の成長に参画し、その果実を着実に享受していく—そんな本質的な投資の在り方を、こびと株さんの投資哲学から学んでみませんか。
(1) こびと株さんの投資哲学
投資の世界には様々なアプローチがありますが、こびと株さんは長期的な視点での配当収入を重視する投資哲学を実践されています。この投資哲学は、短期的な値上がり益を追うのではなく、安定的な配当収入を得ることで、長期的な資産形成を目指すものです。
A. こびと株さんの基本方針
こびと株さんは、まずNISA(少額投資非課税制度)を最大限活用することを推奨しています。NISAは、年間の投資枠内で購入した株式や投資信託からの配当金や売却益が非課税となる制度です。この制度を活用することで、より効率的な資産形成が可能となります。
特徴的なのは、資産の成長(値上がり益)よりも、安定的な配当収入(インカムゲイン)を重視する点です。株式投資による収入には、株価が上がることで得られる利益(キャピタルゲイン)と、企業から定期的に支払われる配当金(インカムゲイン)があります。こびと株さんは、株価変動の影響を受けにくい配当収入を重視し、投資した資金(元本)は長期的に維持することを心がけています。
B. こびと株さんの投資目標
配当重視の投資において、こびと株さんは具体的な数値目標を設定しています。例えば、保有銘柄全体での税引後配当利回り3%超を目指しています。配当利回りとは、投資額に対する年間配当金の割合のことで、例えば1万円の株式から年間300円の配当がある場合、配当利回りは3%となります。
また、こびと株さんは「買った株は原則として永久保有」という方針を持っています。これは、優良企業の株式を購入したら、短期的な株価の変動に一喜一憂せず、企業の成長と配当収入を長期的に享受しようという考え方です。この方針により、頻繁な売買による手数料の発生も抑えることができます。
(2) こびと株さんの銘柄選択基準
優良企業を選ぶための具体的な基準として、こびと株さんは以下の指標を重視しています。これらの基準は、財務的に健全で安定した配当を継続できる企業を選ぶために設定されています。
A. 収益力の基準
企業の収益力を判断する重要な指標として、こびと株さんは以下の3つを重視しています:
- 配当利回りが3.75%を超えていること
この基準は、税引後で3%超の配当利回りを確保するために設定されています。 - 営業利益率が10%を超えていること
営業利益率は企業の本業での収益力を示す指標です。高い営業利益率は、企業が効率的な経営を行っていることを示しています。 - 1株当たり利益(EPS)が増加傾向にあること
EPSは企業の純利益を発行済株式数で割った値で、この数値が増加傾向にあることは、企業の収益力が向上していることを示します。
B. 財務健全性の基準
こびと株さんは、企業の財務状態を評価する際に以下の指標を重視しています:
- PBR(株価純資産倍率)が0.5倍~1.5倍の範囲内
PBRは1株当たり純資産に対する株価の倍率です。この範囲内であれば、適正な株価水準と判断できます。 - 自己資本比率が50%を超えていること
自己資本比率は、総資産に対する自己資本の割合です。この値が高いほど、財務体質が良好で経営の安定性が高いことを示します。 - 純資産が毎年増加傾向にあること
これは企業が着実に成長していることを示す重要な指標です。
C. 配当に関する基準
配当方針については、以下の2点を重視しています:
- 配当性向が50%以下であること
配当性向は純利益に対する配当金の割合です。50%以下であれば、企業は利益を株主還元と将来の成長投資にバランスよく配分できていると判断できます。 - 配当が増加傾向にあること
増配とは配当金を増やすことです。例えば、前年の1株当たり配当が20円から25円に増えることを指します。増配は企業の業績が好調で、今後も成長が期待できることを示す良い指標となります。
(3) こびと株さんの投資戦略のメリット
A. リスク管理の視点
こびと株さんの投資戦略では、以下のようなリスク管理が実現できます:
- 厳格な財務基準による優良企業への投資
- 異なる業種への分散投資による特定業種のリスク軽減
- 長期保有による市場変動リスクの抑制
B. 収益の安定性
この戦略の特徴は、安定的な配当収入が期待できることです。特に:
- 株価が下落しても配当収入は得られる可能性が高い
- 増配傾向にある企業を選ぶことで、収入の成長も期待できる
- 長期保有により、複利効果も期待できる
C. 税務上のメリット
こびと株さんの戦略では、以下のような税務上のメリットが得られます:
- NISAの活用による配当収入の非課税化
- 長期保有による売買手数料の削減
- 譲渡益課税の繰り延べによる税負担の最適化
譲渡益課税の繰り延べとは、株式を売却せずに長期保有することで、値上がり益に対する課税を先送りにできる効果のことです。具体的な例で説明しましょう。
ある投資家が100万円で購入した株式が、1年後に120万円まで値上がりしたとします。この時点で売却すると、値上がり益の20万円に対して約20%(所得税15%+住民税5%)の税金、つまり4万円が課されます。売却後に残る利益は16万円となります。
一方、この株式を売却せずに保有し続けた場合、20万円の値上がり益は存在しているものの、実際の課税は発生しません。この資金を手元に残したまま、さらなる値上がり益や配当収入を得る機会を維持できます。これが「課税の繰り延べ」の基本的な考え方です。
まとめると、こびと株さんの投資戦略は、短期的な利益を追うのではなく、長期的な視点で安定的な収入を得ることを目指す投資家に特に適しています。こびと株さんの投資哲学は、「投資は投機ではなく、優良企業の共同経営者となること」という考え方に基づいており、多くの個人投資家にとって参考になる アプローチといえるでしょう。